バックナンバー一覧▼

震度7の建築経済学

第31回
大阪を痛撃する上町断層地震の発生確率

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2007年12月12日

 風速15mの寒風が吹き付ける冬の朝5時に、上町(うえまち)断層でマグニチュード7.6の地震が発生すると、大阪を中心に88万棟の建物が全壊・全焼し、死者は実に4万2000人にも達する。

 中央防災会議がまとめた近畿・中部直下地震の被害想定で、最大の被害をもたらすのは上町断層地震だ。注意したいのはその発生確率である。

表1 上町断層帯の将来の地震発生確率

今後30年以内の地震発生確率 2%~3%
集積確率 70%~90%超
平均活動間隔 8000年
最新活動時期 9000年以前

 表1に文部科学省・地震調査研究推進本部が調べた「上町断層帯の将来の地震発生確率」を示した。「今後30年以内の地震発生確率」が0.1%~3%未満の場合には、我が国の主な活断層の中では地震が発生する可能性が「やや高い」グループに属する。上町断層地震は2%~3%なので、可能性が「やや高い」ことになる。

 これに対して「集積確率」とは、前回の地震発生から評価時点までの間に地震が発生してもいい確率で、上町断層地震は70%~90%超である。この数字をどう解釈すればいいのだろうか。

 確率の話は難しいので、表1だけでは何のことかよく理解できないかもしれない。そこで表2「1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の発生確率」を見てもらいたい。

表2 1995年兵庫県南部地震の発生確率

活動した断層 野島断層
地震発生直前の30年確率 0.4%~8%
地震発生直前の集積確率 2%~80%
断層の平均活動間隔 1800年~3000年

 兵庫県南部地震の30年確率が0.4%~8%であるのに、上町断層地震は2%~3%なので、兵庫県南部地震の方が少し切迫感が強い。一方、兵庫県南部地震の集積確率が2%~80%であるのに、上町断層地震は70%~90%超なので、上町断層地震の方がかなり切迫感が強い。

 すなわち、近い将来に上町断層地震が起こるかもしれないという危機意識を持ち、「その日」に備えておく必要性を感じさせるだけの発生確率ということだ。

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。