標高が低い大手町~新橋
六つのケースのうち、東京に大被害をもたらすのは、「河口から21キロの荒川右岸(北区)で堤防決壊」、「河口から10キロの荒川右岸(墨田区)で堤防決壊」の2ケースだ。
東京・川の手西部低地の地形図
「荒川右岸(北区)で堤防が決壊」した場合には、「東京・川の手西部低地の地形図」に示した、武蔵野台地と隅田川に挟まれた地域が広く浸水することになる。
東京都心の西-東断面図
「東京都心の西-東断面図」に示したように、標高が5メートル以上あるのは永田町と霞ヶ関だけで、あとは4メートル以下だ。大手町、丸の内、有楽町、内幸町、銀座の約半分、新橋界隈は標高がおおむね3メートル以下なので、軒並み浸水する危険性がある。
埼玉県と東京都を合計して、200年に1回の洪水で床上浸水する棟数は48万棟、500年に1回の洪水では57万棟、1000年に1回の洪水では68万棟にも達する。都心には地下街があるので、浸水すると深刻なダメージを受けてしまうだろう。
江東デルタ地帯の地形図
「荒川右岸(墨田区)で堤防が決壊」した場合には、「江東デルタ地帯の地形図」に示した、隅田川と荒川に挟まれた地域が広く浸水することになる。200年に1回の洪水で床上浸水する棟数は41万棟、500年に1回の洪水では50万棟、1000年に1回の洪水では64万棟にも達する。
さて、東京都には、「洪水ハザードマップ」だけではなく、建物の倒壊・地震火災・避難の3項目をチェックして総合的な危険度を判定した「危険な街マップ」もあるし、ひったくり・侵入犯・粗暴犯などを調べた「犯罪発生マップ」もある。そんな中で、少し不思議なのが「東京湾・津波ハザードマップ」がないことだ。
わたしは岩手県宮古市で小学校4年生までを過ごした。宮古湾はリアス式海岸で、湾の入り口が広い一方で、奥になると狭まっていくので、津波が来ると波が大きく盛り上がってすこぶる危険だ。このため、学校でも家庭でも、「地震が来たら、津波を避けるために、すぐ山に逃げなさい」と教わった。
いわば「津波反射神経」が身についたわたしにとって、東京湾の中につくられた埋立地が津波に耐えられるかどうかかなり心配だ。「洪水ハザードマップ」の次には、「東京湾・津波ハザードマップ」をつくって、ぜひ安全性と危険性を検証してほしい。
(注)今回掲載した地図は、国土地理院が発行する数値地図「50mメッシュ」「5mメッシュ」を使って制作した。
おしえてBP!
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