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震度7の建築経済学

第6回
超高層ビルを襲う「激しくてしつこい」揺れ

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2006年12月20日

 前回のコラム(第5回)では、今後、想定される巨大地震の「長周期地震波」から建物に伝わるエネルギーがすさまじいものであることを述べた。場所によっては阪神・淡路大震災の神戸波の「3.76 連発」に相当するエネルギーを受ける建物もありうるというものだ。今回は建物に及ぼす影響を、もう少し詳しく見ていくことにする。

 まず、日本建築学会・耐震設計小委員会の主査を務める北村春幸 東京理科大学教授が実施したシミュレーションを紹介しよう。一つは阪神・淡路大震災で記録された「神戸海洋気象台NS波」、もう一つは想定「南海地震」の「大阪管区気象台NS波」を使って、超高層ビルがどのように揺れるのかを比較したものだ。

図1 超高層建築(40階建て、高さ162.5m)の頂部の最大変形
阪神大震災・神戸海洋気象台NS波の場合
最大変形は59.9cm。揺れは42回、200秒で、残留変形は6.7cm

図2 超高層建築(40階建て、高さ162.5m)の頂部の最大変形
想定南海地震・大阪管区気象台NS波の場合
最大変形は105.3cm。激しい揺れは103回、500秒も続き、12.3cmの残留変形が残る

 大阪管区気象台は大阪城の南西、約500mの場所にある。住所でいうと大阪市中央区大手前4丁目だ。この場所に、40階建て、高さ162.5mの鉄骨造超高層ビルが立っていて、想定南海地震の「大阪管区気象台NS波」で揺さぶられたと仮定すると、ビルはかなり深刻な事態に陥ることになる。

 超高層ビルの頂部は水平方向に最大で105.3cmも変形し、激しい揺れは実に100回以上、約500秒間も続く。そして、揺れが収まっても12.3cmの残留変形が残ったままになる。要するに、12.3cmだけ斜めに傾いてしまうのだ。

 「大阪管区気象台NS波」で注目すべきなのは、変形50cm以上の揺れが52回、約300秒も続くこと。ビルが左に50cm以上揺れて元に戻り、今度は右に50cm以上揺れて元に戻って1往復だ。1往復にかかる時間は約6秒。そういう揺れが、なんと52回も続く。

 一方、「神戸海洋気象台NS波」で揺さぶられた場合には、頂部の最大変形は59.9cm、揺れは42回、継続時間は200秒、残留変形6.7cm。すべてが南海地震の半分程度に収まっている。また、変形50cm以上の揺れはわずか1往復だけだった。

 両者を比較すると、「大阪管区気象台NS波」の特徴として浮かび上がってくるのは、「建物の揺れが非常に大きく、継続時間が非常に長いこと」。俗な言葉を使うと「激しくて、しつこい」のだ。

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