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震度7の建築経済学

これが地震波のエネルギー比較表

 エルセントロ、タフト、八戸、阪神などの「従来型地震波」と「長周期地震波」の違いを、だれにでも簡単に分かるように表現するためにはどうすればいいのか。秋山宏・日大教授、北村春幸・東京理科大教授が、連名で日本建築学会の構造系論文集 2006 年 10 月号に発表した論文は、それに対する一つの回答だ。秋山教授は日本建築学会の前会長。地震による構造物へのエネルギー入力に関する研究をリードし、その著書「建築物の耐震極限設計」(東京大学出版会)は耐震研究者の必読書になっている。

 さて、論文のタイトルは「エネルギースペクトルと速度応答スペクトルの対比」。難しい専門用語を使って書かれた研究論文なので、結論だけを要約する。

  • それぞれの地震波から建物に伝わる「地震エネルギー」を求める。
  • 阪神・淡路大震災 神戸海洋気象台NS波を一つの基準として採用し、「単位地震波」と名付ける。
  • それぞれの地震波と単位地震波の地震エネルギーを比較して「倍率(反復数)」を計算する。

 神戸NS波(単位地震波)の反復数は1.00。これに対して、想定南海地震 西大阪波の反復数は 3.76 、想定東海東南海地震 名古屋三の丸波の反復数は 3.64 などとなる。

 反復数が 3.76 とは、「神戸NS波が 3.76 回続けて伝わった」という意味。「神戸NS波の 3.76 倍の地震が建物を一気に襲った」という意味ではない。

 仮に、「神戸NS波の 3.76 倍の地震」、すなわち最大加速度 3076 ガル、最大速度 342 カインというものすごい地震波に襲われたとしたら、超高層を含めた多くの建物が大破、倒壊してしまうのではないか。だから、「神戸NS波の 3.76 倍」ではなくて、「神戸NS波の 3.76 連発」だったことを喜ばなくてはいけない。

 地震のエネルギー(マグニチュード)は広島型原爆の「何発分」と例えられてきた。それに対して、長周期地震波から建物に伝わるエネルギーは、反復数を使って阪神・淡路大震災 神戸波の「何回分」、あるいは「何連発」と例えられることになるだろう。

 「神戸NS波の×連発」に相当するエネルギーが建物に伝わるとどうなるのか ―― については、次回で説明する。

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