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震度7の建築経済学

第5回
阪神大震災の4連発分が建物を襲う

建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏
2006年12月6日

 今後起きる地震では建物にどれほどのエネルギーが伝わるのだろうか。阪神・淡路大震災のとき神戸海洋気象台で記録された地震波がある。これを「神戸波」と呼ぶことにして、それと比較して見てみることにしよう。

 日本大学教授の秋山宏氏、東京理科大学教授の北村春幸氏の最近の研究によると、想定「南海地震」に襲われた西大阪では、地震波から建物に伝わるエネルギーは、神戸波と比較すると実にその 3.76 回分に相当することが分かった。

 別の言葉を使うと「神戸波 3.76 連発」と表現してもいい。西大阪の地震波は、神戸波が1回来ておしまいではなく、2回目が来て、3回目が来て、さらに付録が 0.76 回分付くような「連発波」に例えられるのだ。

 想定「南海地震」は、プレート境界で発生する海溝性の巨大地震である。こうした巨大地震の長周期地震波から建物に伝わるエネルギーはすさまじい。想定「東海東南海地震」に襲われる名古屋・三の丸では神戸波の 3.64 連発だし、想定「関東地震」に襲われる東京・気象庁では神戸波の 1.92 連発に相当する。

 はじめに注意しておきたいのは、「地震のエネルギー」と「建物に伝わる地震波のエネルギー」は違うということだ。地震のエネルギーはマグニチュード(M)で表す。M7.0は「2.0×10の15乗」ジュール、M8.0は「6.3×10の16乗」ジュール。マグニチュードが1大きいと、エネルギーは約 31.5 倍になる。

 マグニチュードはよく原子爆弾に例えて説明される。広島型原爆が持っていたエネルギーには諸説があるが、M5.2相当だったと推定すると、阪神・淡路大震災はM7.3だったので、広島型原爆の約 1000 発分だったことになる。

 一方、建物の耐震性を検討するときには、マグニチュードではなく、地震波(特定の場所の揺れの強さを示す)を使う。地震波には大きく3タイプある。実際に記録された「観測波」、観測波に手を加えた「加工波」、予想される震源で起こった地震が建物の敷地にどう伝わるかをシミュレーションして作った「サイト波」だ。

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