社員のヤル気が生んだオリジナル・カクテル
こうした従業員との付き合いを通してわかったのが、「自主性を持たせてことに当たらせると、従業員はその実力を十二分に発揮する」ということだった。
私のクラブ運営の経験からその1例を挙げてみよう。
クラブでは、飲食部門の売上げを向上させることと、会員・ビジターといったお客のニーズに応えることを目的に独自カクテルをたくさん創り出した。
「コラボレイション」「バロン・アルカード」「ハリー・ストリート・トルネイド」「クール・ストゥラッティン」「ヒロ・スコープ」――これらはすべて、私たちが創り出したオリジナル・カクテルである。
「コラボレイション」には、個性を保ちながらもお互いによく融和してゆこうとのクラブの基本精神の意味が込められていた。テキーラをベースとし「ブルー・キュラソー」「オレンジ・ジュース」にレモンを加えたロング・カクテルである。これは、チーフ・バーテンダーのH君が試作・提案してきたものを、私が試飲し、その場でゴーサインを出した。そして、翌日からお客に奨めるメニューになっていた。
「バロン・アルカード」(BARON ALUCARD)は、ALUCARDの文字をさかさまに読むと、「ドラキュラ」になるというイタズラをほどこしたユーモラスなカクテル。ドラキュラ伯爵ならぬ「アルカード男爵」と命名したところが人気を呼んだ。これらは、ウェイターのO君、T君、K君らが考え出したものである。
多少絵ごころのあった私は、こうしたカクテルの販売用ポスターをすぐに描いて、バー・コーナーのレンガの壁にいっせいに飾った。こうしてかずかずのオリジナル・カクテルは支配人、チーフ・バーテンダー、ウェイターズの協同作業によって次々とお客に提供された。
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