「優秀な人材」はお金では買えない
急激な成長が経営を危うくするもう一つの、そしてより本質的な理由は、会社の成長に人材の成長が追いつかないことです。設備投資はお金で賄えます。お金は銀行が融資してくれたらなんとかなる。しかし人材だけは、お金があってもどうにもならない。
そう言うと、「優秀な人材を中途採用すればいいではないか」と短絡的に考える。実はそれこそが会社をがたがたにし、倒産へと導く一里塚です。まず中途入社の社員は、社長と価値観を同じくする作業が充分にできない。当然、バラバラの方向で仕事をすることになる。組織の一体感が損なわれるのはもちろんですが、なにより会社は社長が示す方針を社員が即座に実行してこそ強くなる。
また、優秀な人材を採用するとなれば相応のポストも用意することになる。すると古くからいる社員がすねる。社員のモラルは低下し、仕事の手を抜いたり、最悪の場合は辞めてしまったりする。人材は、時間と手間をたっぷりかけることによって、ようやく会社の「資産」になる。お金だけでは絶対になんともなりません。
年商3億円の会社を経営しているのなら、目指すべきは年商10億円の会社ではありません。6億円です。それも決して性急になることなく、会社の実力を鑑みながら5年、10年の中長期計画で達成することを考えるべきです。そのために必要なのは、なによりもまず社長自身が数字に強くなること。数字によって、見たくない自社の現実を客観的に把握するよう努めることです。
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