バックナンバー一覧▼

こころ豊かで安全な経営とは何か

情報を吸い上げた後、社長がやるべきこと

 進捗会議では、職責下位の社員から発言させています。理由は二つある。一つは、職責上位の者が先に発言すると、下位の者は迎合するから。もう一つは、職責下位の者ほど「現場」に近く、その分、お客様情報・ライバル情報を多く持っている。市場にはお客様とライバルしかいない。つまり我が社が勝ち残っていくためには、この二つに関する情報はどうしても必要です。

 およそ2時間におよぶ会議の間中、わたしは基本的に黙って社員の話を聞きます。わたしが発言するのは最後の10分。寄せられた情報を基に「その案件はこうしなさい」と方針を示すだけ。しかも、即断即決です。

 半年前に、ある部長がこんな情報を発表した。「ライバル会社は、製品の欠点を先に告知するセールストークをしています」と。「このマットは、重くて扱いにくいです」「しかしその分、汚れを除去する力が強く、しかも滑りにくいから安全です」。つまり欠点を先に言うことで、商品の長所を大きく引き立てている。それを聞いてわたしは即座に言いました。「よし、我が社でもそのまねをしよう」。

 こうしてライバルの蚕食は最小限に抑えることができました。「下手の考え、休むに似たり」で、沈思黙考したところで名案が浮かぶわけではない。それよりはまず実行してみて、その結果から対策を練り直すほうが早いし、確実です。

 それに社員から上がってくる情報が確実で鮮度の高いものであれば、社長は大きくは間違えない。方針を誤る社長は、多くの場合、現場から情報を吸い上げないで、過去の経験や思いつきで(つまりヤマカンで)方針を下す。だから間違えてしまうのです。

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。