「イメージと違う」と新卒・中途は離れていく
「とにかく人材を確保する」という、誤った目的で採用される新卒社員は不幸です。入った会社がたまたま水が合う会社ならいいが、そうでない例のほうがむしろ多い。となると、彼は数年もたたないうちに会社を辞めてしまうことになる(実際、新卒入社した人の大部分は3年以内に辞めるというリサーチ結果もある)。今は新卒こそ引く手あまたです。
また企業にとっても、採用した社員が辞めるのは不幸です。社員を採用して一人前に育てるためには、仔細に見ていけば数百万円もの採用コスト・教育コストがかかる。それだけの「投資」を償却する前に辞められては、決して馬鹿にならない負担が増えることになる。放っておいても人材が集まってくれる大企業ならばいざ知らず、中小企業にはそんな負担を抱えておく余裕はない。
では、社員が辞めないようにするにはどうするか。一つには入社前の段階で、適切なストレスをかけておくことです。この「ストレス」は、「ありのままの姿を体験させる」と換言してもいい。これが我が社の社屋です。入社したらこういう仕事をしてもらいます。こういう規則があります。昇給・昇進のルールはこうなっています、などなど。
我が社は、「中小企業としてはIT活用企業」というイメージが先行していることもあって、かなりの数の人が立派なインテリジェントビルを連想するようですね。「先進的でおしゃれなオフィスで、さっそうと仕事をするんだ」とかなんとか。しかし実際に来社してみると、築ウン十年のボロボロの社屋。壁にヒビは入っているわ、台風が来れば雨漏りはするわで、「先進」でも「おしゃれ」でもない。甘い期待は跡形もなく打ち砕かれます。社の駐車場では配達担当の社員が炎天下で汗を流して仕事をしている。およそ「さっそう」というイメージではない。
それで「イメージが違っていた」と言って中に入らずに帰っていく人も当然います。わたしにすれば「有難うございました」です。あなたの正しい決断のおかげで我が社は、そしてあなたも損をしないですみました、と。いくら取り繕ったところで、入社してしまえばどうせすべて露見する。であれば初めからありのままの姿を見せるにしくはない。
わたしの見るところ、新卒・中途が定着しない会社は、必要以上に自社を美化する傾向にあるように思います。もちろん過剰に卑下する必要もありませんが。
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