第112回
銀行は「国民」の恩を忘れたか
株式会社武蔵野 社長 小山 昇氏
2008年7月1日
1990年代の初め、バブル経済が破綻したとき、多くの銀行が大きな痛手を負いました。このとき政府はどうしたか。国民の血税を投入して銀行を救いました。また積極的に銀行の経営にも介入した。その結果、銀行は合併また合併を繰り返し、当時12行あった都市銀行は現在では4行にまで減ってしまいました。
合併によって事業規模を大きくし、強い経営母体をつくろうという施策には一定のロジックがあることはわたしも認めましょう。しかし、こと中小企業経営者の視点から見た場合、「銀行の数が減る」とは「選択肢の幅が減る」とイコールです。あたらこれまで培ってきた取引実績や信用、金融機関の営業担当者との人間関係までご破算になった。
いま石油の価格が高騰し、それにつられていろいろなものが値上がりし、中小企業は軒並み厳しい経営を余儀なくされている。その一方で都銀四行は、以前にも増して厳しい姿勢で融資の審査をしています。
わたしの知っている例を申し上げましょう。あるレジャー関連企業の社長はこう言っていました。「銀行は、土地や上物は何とか担保にしてくれる。しかし中の設備にはお金を貸してくれなくなった」。またあるサービス業の経営者は「銀行がリース残債を、これまで以上に厳しく精査するようになった」という。はたまた、とある不動産業経営者は「もはや銀行は一切貸してくれなくなった」と嘆く。仕方なく彼は、保有している不動産を捨て値同然で投げ売りしているそうです。
これでは、結果的に土地の値段が下がり、更に景気は悪化する。
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