嫌がることを強制するのが教育
現実的な話をすると、社内なんて一日や二日で目立って汚れるようなものでもありません。だから毎朝、全社員を掃除に30分も駆り出すなんて不経済だ。そういう意見もあるでしょう。わたしの考えは違います。「毎朝、強制的に掃除させることが大切なのだ」と。それこそは、非常に重要な社員教育の場です。
社員は掃除が好きかといえば、嫌いです。わたしが「全社員は毎朝30分掃除をすること」と方針を打ち出したときは大きな反発がありました。目端の利く社員は清掃時間にお客様とのアポイントを入れてサボろうともしました。そんな悪智恵だけは働くのが我が社の社員なのです。その智恵は業務にこそ生かせ、といったところです。
そういう社員に対してはどうしたか。わたしは「アポイントはライバル会社の社員にお願いしてもいいから掃除をしなさい」と命じました。教育の基本は、「嫌いなことをやらせる」です。面倒がること、嫌がることを強制的にやらせるからこそ、心根の優しい、素直な人間が育つのです。
余談ですが、わたしには娘がいます。幼少の娘は偏食があり、妻の料理が気にくわないと「こんなもの食べられない」と文句を言いました。「不満があるのなら食べないでよろしい」といい、皿を下げました。夜も更けると娘もさすがに空腹になって、「ごめんなさい」と言って食べる。
いまでも我が家は、娘がなにか生意気なことを言ってくると「そんなことを言うのだったら、もう学校には行かせないぞ」と返します。すると彼女は「あ、ごめんなさい!」と素直になる。やかましい両親を持った娘にとって、学校こそだれにも文句を言われない、一番心安まる場所です。普通は逆のはずですけどね。
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