第95回
サブプライムには「徳政令」しかない
経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年9月19日
当コラムの第90回、「破綻目前、サブプライムの猶予は3カ月」でも述べた米国のサブプライム問題。これに新たな動きが見られた。FRB(連邦準備制度理事会)議長のバーナンキ氏がこの問題について「このままいくと問題が大きくなる。金利を下げるかもしれない」という趣旨の発言をしているのは既報の通りだが、他ならぬブッシュ大統領までもが問題の解決に乗り出したのだ。
サブプライムとその問題点については上記コラムをお読みいただくとして、ここでは簡単におさらいだけしておこう。サブプライムとは米国の低所得者層を対象にした高金利の住宅ローンのことだ。低所得者に高利で融資するわけだから当然返済不能に陥るケースも増大し、ためにこれまで好調だった米国の住宅市場を大混乱に陥れている。ばかりか、いまや全世界の経済にも大きな影響を及ぼしてきているのだ。
さて、ブッシュ大統領はなにをしているのか。まずローンの借り手を救済するために、債務保証をするFHA(連邦住宅局)の改革、税制改革の必要性を強調したのだ。具体的にはFHA信用保証の拡充、立ち退きに直面した人の所得控除の拡大などが挙げられている。さらに作業部会に対し、証券化の実態や証券化商品の格付け基準について調査することを指示した。
ローンの貸し手側向けの救済策も発表している。そこに挙げられた対策とは、融資基準の明確化、住宅ローンの包括的な登録制の検討、金融教育の充実などだ。下に主だったところをまとめてみた。
これらの救済策を眺めると、なんというか隔靴掻痒(かっかそうよう)という感じだ。わたしの目にはまったく効果がないように映る。これでは借り手にとっても貸し手にとっても、何の助けにもならないのではないだろうか。特に200万人いるローンの借り手のうち、救済策の対象とされるのはわずか8万人しかいないのだから。効き目については「?」としか言いようがない。
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