ブランドに対する評価――生産者と消費者のズレ
茶葉の生産者が産地にこだわってブランド力を確立しようと努力しているのに対して、消費者の動向はどうなっているのか。
わたしが見るに消費者は、それほど産地には興味がないようだ。実際に売れているのは、むしろ「お~いお茶」とか「伊右衛門」とか、飲料の名称や広告展開が購入の決め手になっているように思える。消費者にとっては飲料の名前がブランドなのだ。もはや多くの消費者が選んで購入するのは、ペットボトルのお茶(すなわち水代わり)であって、茶葉ではない。そして茶葉を選ぶのは飲料メーカーであって、消費者ではない。
だからボリュームゾーンの低価格な茶葉については、ペットボトル飲料を前提にした体制に切り替えていくべきだ。鹿児島や中国も下請けとして使ってもいいだろう。ただしちゃんとトレーサビリティなどを管理できる状態にしておかないといけない。
そして日本茶のブランドとしては、これまでのように低価格なものを主力にするのではなく、高級茶葉を強力に打ち出していく。そのためにはもっと産地を限定したブランドを作らなくてはいけない。静岡の生産状況を見ると、下の図のようにいくつかの産地に限定できる。それぞれにブランドを形成していけば、国際的なブランドに育てることも不可能ではないだろう。
参考として挙げたいのは山形のさくらんぼだ。米国のチェリーの輸入が解禁されたとき、山形のさくらんぼが打撃を受けるのではないかと心配されたが、結果はどうか。山形のさくらんぼは高級品としてしっかりブランドになっている。朝日町の佐藤錦だと言われると、いったいいくらするのかドキドキするくらい高い。お米だって、魚沼産が有名なブランドになった。今では「南」魚沼産とさらに狭い範囲に限定されてきている。
このように「静岡のお茶は日本の生産量の半分です」などと大きさで競ってはいけない。生産性も悪く、高齢化の進むハンディキャップの中で自分たちのブランドを強力にするためには何をすればいいのか、その本質を見極めて、価値を高めていくことが求められる。
大学の講義のようなことになって申し訳ないが、身近な静岡茶の例を取り上げて、伝統産業をグローバル化していくのにどのような思考・分析をすればいいのか、データーを基に「わたしが当事者だったら」という想定で考えた経緯を記した。
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