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「産業突然死」の時代の人生論

第86回
企業も人も日本から逃げ出す「骨太方針」

経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年7月18日

 安倍政権が経済政策運営の指針を発表した。これは安倍政権にとって初めて打ち出す方針であり、「骨太の方針2007」(正式名称:経済財政改革の基本方針2007)という名が与えられている。わたしも早速入手して読んでみた。読んではみたのだが、あまりにも内容が陳腐かつお粗末で、開いた口がふさがらないという気持ちだ。いったいこれのどこが「骨太」なのか。これで本当に経済が成長していくのか。読めば読むほどげんなりしてしまうというのがわたしの偽らざる本音だ。

 例えばそれは、こんな記述である。骨太の方針2007の中には「人口減少のなか経済成長を持続させる決意」と意欲を見せた記述がある。「その意気やよし」だが、続きがいけない。「そのため労働生産性の伸び率を5年間で1.5倍に増やす」と宣言しているのだ。安倍首相は、労働生産性を増やすことの意味を分かった上で、この骨太の方針とやらを書いたのだろうか。

 労働生産性とは、付加価値を就労人員の数で割ったものである。簡単に言えば、仕事の成果を働いた人数で割った数字だ。米国を100とした場合、日本の労働生産性は70程度。米国より3割ほど少ない。

 「5年間で労働生産性を1.5倍に増やす」という目標値は、米国と同等レベルに引き上げることを狙っているのかもしれない。しかし、この数字を米国レベルまで引き上げたとして、何が待っているのか。安倍首相はそこまで思い至っていない。なにしろ生産性向上の結果としてあるのは「失業者の増加」だからである。

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