正社員にこだわるとワークシェアリングに行き着く
もし「より多くの労働者を正社員に」ということになったら、どうなるか考えてみるといい。欧州のように、フルタイムで働いている正社員とパート労働者とで、なるべく同じような労働条件になるように持っていけ、という議論となる。
それを推し進めていくと、オランダのようなワークシェアリングに行き着くだろう。全員がパート労働者のような扱いになる。正社員も週4日しか会社に通えない。そうやって、たくさんの人が働けるような環境を作るのである。だが、もし日本がそういうワークシェアリングを採用したら、労働の流動性が非常に乏しいものになってしまう。
今回、グッドウィルの例からユニクロの例、ひいてはワークシェアリングまで、非常に極端な労働条件について考えてみた。この議論は、魔女狩りをするのではなく、本来労働とは何か、雇用とは何か、企業と労働者との関係はいかにあるべきか、など突っ込んで検討するべきテーマなのだ。もちろん、労働者の雇用条件を向上させることは日本社会にとって大事な目標ではある。わたしもそれを批判するつもりはない。ただ、企業の競争力が維持できない、あるいは低成長期によく起こる需要の増減に対応できないという事態になれば、そもそもの雇用が維持できなくなる。この問題が、欧米でこの数十年にわたって社会全体で議論されてきた理由が、日本でも次第に理解されるようになってくるだろう。
わたしは固定部分、つまり最低必要な人材は正社員として採用し、見通しの立てにくい景気の変動などに対しては派遣で、そして一時的に必要な労働力に関してはパートなどの変動社員でまかなうべきだと考えている。そうでないと会社は経営できない。会社が危うくなれば、当然そこで働く労働者の生活も不安定になる。労働者の雇用条件向上は、同時に労働者自身の首を絞める可能性もはらんでいるからである。
会社と労働者(あるいは、資本と雇用)という二項対立は過去の遺物である。両方がバランスよく幸せになる道を考えることが重要であり、今、それが問われているのだ。
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