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「産業突然死」の時代の人生論

経営悪化は人災

 それにしてもなぜこんなにも早く駄目になってしまったのか。

 繰り返しになるが、東京都に銀行を経営することは無理だったのだ。当時、都の職員で銀行業務に携わった経験のある人は日債銀に勤め中途で採用されたわずか一人だけ。そんな状況で経営に手を出せるはずがない。それに何をやるにも全部議会の承認が必要だとされ、時間がかかりすぎる。

 また、儲かる財源を確保する前に、政治的にアピールしやすい「中小企業支援」「ベンチャー支援」などを積極的に進めたために大損害を招いた。自らの信念に基づいてこの事業を進めた石原都知事は、今は目新しいテーマとしてオリンピックを都民の前にぶら下げている。また知事の政治的情熱を現実的な事業計画、アドバイス、そして実行面で支えられなかったスタッフの責任も大きい。

 こういう経緯を知っている者から見ると、新銀行東京の経営悪化は人災としか思えない。言い出しっぺであるわたしにとっては複雑であるが、悲しむべきことである。

 いまここで、少なくともわたしの知っていたころの姿を公開した。知事およびそのスタッフは、「その後」何が起こったのか、「第二幕」を都民の前に開示する必要があるだろう。開業してからの「第三幕」は金融庁が調査し、当然いずれの日にか都民の前に開示されるだろうから。

 今の段階ではわたしの恐れていた「民業の圧迫」にはなっていない、というのが不幸中の幸い、と言えば皮肉に聞こえるだろうか。

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