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「産業突然死」の時代の人生論

第65回
役割を見失った金融庁

経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年2月14日

 このところ、金融庁による金融機関の取り締まりが目立っている。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱東京UFJ銀行は、長期間にわたって不正に関与していたことが判明し、金融庁が一部業務停止命令などの行政処分を検討しているとの報道が先月末(2007年1月末)にあった。財団法人飛鳥会の元理事長の不正に三和銀行時代からかかわりを持ち、不適切な関係を続けていたことが判明したからだ。

 元東海銀行関連では名古屋市のフジチクの脱税および債権回収に絡む担当者の関与が問題となっている。また旧東京三菱がらみでは米国のFRB(連邦準備理事会)やFIBC(連邦預金保険公社)からマネーロンダリングに対する不備を指摘され行政処分を受けている。しかも、これによって米国での買収などの活動に大きな制限を受けることになった。MUFGは満身これ創痍、という状況である。

 不祥事は同じグループ傘下の三菱東京UFJ証券でも起こった。自己売買に法令違反が見つかり、金融庁から業務改善命令が出た。同証券はアコムとOMCカードの株式の売買にかかわったが、その情報を利用して自己売買取引を行った。これは証券取引法に触れる禁止行為である。

 金融庁が金融機関のこのような不正を取り締まるのは当然のことだ。しかし、わたしはこれらのニュースを耳にしてこう思った。「もはや金融庁の役割がなくなってしまったのかもしれない」と。

 不良債権問題がだいぶ解消して、金融庁の仕事がなくなってきている。本当は(後述するように)なくなっているはずはないのだが、少なくとも金融庁のお役人はそう信じている節がある。そこで「仕方なく」といっては言葉が過ぎようが、設立当初の目的ではない業界内の不正を取り締まる行為も行っている。それでここ半年くらいの間に立て続けに出されている行政処分や改善命令のようなことにつながっている、と見ることができる。

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