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「産業突然死」の時代の人生論

NEC は典型的な日本企業

 では NEC の弱点はどこにあるのだろうか。NEC の業績を細かく分析していると一つのことに気がつく。それは、国内に強く、海外に弱いということだ。多国籍企業と呼ばれるGEなどは売り上げの7割を海外に依存している。それに比べると NEC の海外比率は非常に低いと言わざるを得ない。もっともこれは NEC だけでなく、他の多くの日本企業でも同じことが言える(下表参照)。そうだとしても NEC の海外依存率の低さは抜きんでている。

※オレンジ色が国内、水色が海外の売り上げ

 もう一つの特徴は、主要事業のほとんどで競争が激しくなっていることだ。NEC の事業で大きいのはパソコンなどのパーソナルソリューション、携帯電話などのモバイル、半導体の三つだ。ところが、この三つとも採算悪化に陥っているのである。

 パソコンではかつてPC-9800シリーズで日本市場のシェアも売り上げも独占していたのだが、今では採算悪化という状態だ。売り上げは伸ばしているものの、利益が出ないという悪循環なのである。いったい NEC に何が起こっているのだろうか。それを推理するヒントが同社の事業別業績にある。下の図を見てほしい。

 これを見て気づくのは、NEC は競争の激しい分野に企業リソースの多くを割いていることである。確かに、パソコン・携帯電話・半導体とも NEC は国内シェアではトップレベルだ。しかし、どの分野も競争が激しい。しかもライバルは国内メーカーばかりではない。たとえパソコンや携帯電話で国内のシェアナンバー1になっていても、価格はデルやHP、ノキアなどの海外メーカーと競争しなくてはいけないので、そうそう単価を上げるわけにはいかないのだ。そのためにシェアを取っているにもかかわらず、利益に結び付かないのである。

 半導体も今では韓国勢にあおられていて、もうからない。1980年代、日本の半導体は生産量・品質とも世界ダントツで、「産業界のコメ」と称されるほどだったのに、今ではごく小さなパイになってしまった。技術の保持・産業の空洞化を防ぐという意義は充分に認めるとしても、NEC の現状をかんがみるに、これは同社首脳部の経営判断ミスと言わざるを得ないだろう。東芝などはとっくにDRAM半導体を見限ってフラッシュメモリーなどもう少しもうかるところに移行している。昔のチャンピオンの栄光はどこに行ってしまったのだろう。

 それにシェアを取っているといっても、それは国内に限った話だ。海外ではパソコンでも携帯電話でも、NEC は「その他大勢」の中の一つに過ぎない。

 だから、どの分野も「国内ではシェアトップランクでも、海外ではその他大勢」「世界標準の安い価格に合わせざるを得ない」という状況だ。結局は利益よりもシェアを追いかけすぎたのが悪い。そのために被害が大きくなってしまうのだ。シェアはあっても利益が出ないという状況から抜け出せなくなっているのである。これもまた典型的な「日本的企業」というイメージではないだろうか。

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