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「産業突然死」の時代の人生論

役所もマスコミも反対する道州制

 47都道府県という現在の制度では、当たり前だが47人の知事がいる。このうち道州制に賛成しているのは3人程度だ。それ以外は反対派である。ところが、よく考えてみると、道州制導入後は、知事の席は11しか必要ないのだ。つまり、自分達のポストが4分の1以下に減ってしまう。自分の地位を守りたい知事の多くが反対するのは、簡単に予想がつく。

 知事の中にはまだ1期目の人もいる。そういう知事は内心で「あと3期はできる」と思っているかもしれない。それがまもなく道州制に移行して県知事の席がなくなるとなったらどうだろう。命がけで反対するに決まっている。それに、現在の県知事の中には、「自分は道州の知事という器ではない。選挙をしても落選するだろう」と、志の低い人もいる。せめて「ステップアップして、道州の知事になってやろう」と意欲を持っている人ならいいのだが。

 役所も絶対に反対するだろう。何しろ役所にとっては道州制になって得することがない。天下り先が47から10前後になるのだから。今の都道府県の役所に行ってみれば分かるが、助役とか副知事とか局長のレベルで、いかに中央の人がはまり込んでいるか、もう驚きを通り越してあきれるばかりだ。ところが道州制が実現したら、彼らのポストが減るから要らなくなるわけだ。総務省がかたくなに反対するのは明らかだ。

 だからこそ、わたしは抜き打ちでもいいから、やってしまう人が出てこないと実現はできないと言っているのである。議論していては駄目だ。議論よりも、道州制の意義を信じきって、やりとげる真の政治家が必要なのだ。道州制が日本を救うという信念を持つ識者の人たちの力にかかっているのである。

 反対するのは県知事や役所の人間だけではない。マスコミが反対派に回るのも確実だ。なぜなら、地方のマスコミ、つまりテレビ局や新聞社も県単位で利権を持っているからだ。例えば、山形第4の民放である山形さくらんぼテレビのような後発のテレビ局は、道州制が導入されたらどうなってしまうのだろうか。彼らのようなテレビ局が存在できたのは、“さくらんぼ”という名前が示しているように「県」という限られた範囲があったからだ。道州制への流れが本格的に起こったら、既得権益を失いかねない新聞社やテレビ局などが一斉に反対することだろう。

 するとマスコミでは「道州制に反対か賛成か」という議論が始まって、「反対派が99、賛成が1」などという結果が出るのだ。マスコミを支配している人たちは、自分の利権を考えて反対派に回り、賛成派に立つのは日本の将来と発展を考えてという立場の人だけ。それは1くらいということになる。そうなれば当然、マスコミも99の意見に乗せられて話が進み、議論をすればするほどわけが分からないことになる。挙句の果てに、中途半端な道州制になってしまう可能性もある。

 もっともテレビ局に関しては、インターネットがもっと普及したら、番組もネットを通じて視聴するスタイルに切り替わってしまい、現在の都道府県別のテレビ局の利権など関係なくなる。現在必死でしがみついているその利権も、いずれ価値がなくなるに違いない。だから、わたしには、守るべき価値のない利権にしか見えないのだが。

 
 

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