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「産業突然死」の時代の人生論

第49回
安倍首相に望む――遅くとも半年以内に成果を上げよ

経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年10月11日

最初の半年で何を実現するかで、その後の実績が変わってくる

 このほど誕生した安倍首相は、支持率も比較的高く、国民が彼に大きな期待を寄せていることがうかがえる。今後、彼はどんな施策を打ち出していくのか。首相の手腕が問われよう。

 わたしは、組織の長というものは、就任してから3カ月、百歩譲って6カ月以内に何かやらないといけないという考えを持っている。安倍首相は半年で何をやるのか、それが大事だ。その間の成果がうまくいくと、その後に次々にやれることが広がっていくものだ。

 取りあえず就任早々の中国・韓国訪問は成功だった。国民も米国一辺倒の小泉前首相の外交には違和感を持っていたし、北朝鮮の核が現実となった今、両国との距離を縮めておくことが何より大切だ。また来年の参議院選挙をにらめば民主党に政策で明確な対立軸を立てさせないことが政権の安定につながる。幸先の良いスタートを切った、と言っていいだろう。

 小泉前首相の最初の半年間を思い出してみよう。就任してからすぐに様々なことに手をつけて、いろいろなものを壊した。それがうまくいくと、次からはどんどんアグレッシブに行動していった。いかにスタートダッシュが大事かということが分かる一例だ。そういう意味では、安倍首相はこれからの半年間で何をやったかが非常に重要なのである。

 おそらく本人も驚くくらい「アジアの安倍」と言われるようになるのではないか。ちょうどタカ派のニクソンがすべての人の予想を裏切って中国との国交回復を図り、台湾との関係を切ったように、歴史の主人公は思わぬ方向にかじを切っていくものだ。今回の訪問で胡錦濤主席やノムヒョン大統領の訪日も合意されているので、しばらくはアジア、ということになる。これでロシアと滞っている平和条約締結+二島先行返還、ということになれば、安倍総理の東アジア外交は大きな成果を生むことになる。

 状況を見ても、安倍首相に有利だといえる。彼は総裁選挙を僅差で乗り切ったわけではない。30%の反対票があったと強調する人もいるが、わたしに言わせればベテランを向こうに回して総裁選の論戦を乗り切り、結構いい成績で勝ったのである。だから、やりたいことがあれば、それを実現できる立場にあるのだ。まず手を付けなくてはいけないのは、政策と歳出の問題だ。これについては下のグラフを見てほしい。

 情けないことに、竹下さん以来、ずっと借金が増え続けているではないか。しかもその間の首相はずっと財政支出については改善すると言っていた。実際、みんな財政××法のようなものを作ってはいる。だが、成果を上げることなく、対GDPで見た場合、世界一の借金を作ってしまったことは間違いのない事実である。いつまでもこのままでいくわけにはいかないのだ。

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