第45回
地デジよりSNSに注目する広告業界
経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年9月13日
5年後、地上デジタル放送に意味はあるのか
地上波のテレビが現行のアナログ放送からデジタル放送に完全に移行するまで、余すところ5年である。ご存知の人も多いと思うが、地上放送がデジタルに変わると、従来のアナログ対応のテレビ受信機では映すことができなくなる。2011年には今のテレビ受信機がすべて無用の長物になり、デジタル対応テレビに切り替えなくてはいけない。国民全体を巻き込むテレビ業界の巨大な改革なのである。
その地上デジタル放送をあおるイベントとして、7月24日、竹中総務大臣を招いて「カウントダウンセレモニー」が開かれた。だが、こうした見え見えのお祭り騒ぎにもかかわらず、わたしは地上デジタル放送の時代は来ないだろうと思っている。その理由は、今我々の周りで起こっているデジタル化のすさまじいまでの進展を見れば明らかだ。
デジタル放送移行でカウントダウン
地上デジタル放送に完全移行するまでの残り日数を表示するカウントダウンのセレモニーに臨む竹中平蔵総務相(中央)(東京・総務省内)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)
とにかく地上デジタル放送を推し進めているお役所の人間が、なんとも古い情報で動いていることに驚かされる。今、世界で起こっていることを知らないのだろうか。世界ではサーバーを使って、インターネットから動画をダウンロードして視聴するという流れに向かっている。
もちろん高画質の大画面でテレビを見る、という人はいるだろうが、大半の人は見たいものを見たい時に、という形に移行し、結局、場所と時間をシフトできるインターネットの機能をフルに使ったものに、より多くの時間を費やすようになる。
インターネットの進展がこのまま進めば、地上デジタル放送に完全移行する2011年には、日本でも光ファイバーが家庭の6~7割に導入されているだろう。ダウンロード型の放送、あるいは映画鑑賞も、がぜん現実味を帯びてくる。VODといわれる、見たい時に流す形と、帯域の空いているときに家庭内のハードディスクサーバーに落としておいて、好きな時間に見るという形態が一般的になっているだろう。
そうしたら地上デジタル放送に意味がなくなる。高画質を求めなければ、今普及しているADSLだって十分なのだし、ダウンロード型ならさらに問題がない。もちろん皆がハイビジョン対応で一斉に同時放送に群がるような場合には地上デジタルが最適だろうが、そういうことがどのくらいの頻度であるのか、またそれだけのコンテンツが果たして存在するのか、そこが問題なのである。
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