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「産業突然死」の時代の人生論

東証に見切りをつけられるか?

 このPTS開設の動きは、東証の動きと深くかかわっている。

 東証では2009年から稼働する新しいシステムについて、この9月に発表すると言っている。しかし、これまでも何度も指摘しているように(本コラム第26回第27回)、東証の新システムは大したものではないと思われる。システムは変わっても制度も人も変わらないだろう。これまで通り「昼休みを取って、午後3時にはハイ、サヨナラ」という営業時間のままだろう。

 しかも今では世界の先端市場は第三世代の取引売買システムになっており、現物とデリバティブの統合プラットフォームは当たり前、となっている。大量・連続気配値表示(1秒あたり100万クオート)などプログラム売買に対応したシステムである。東証の次期システムではどこまでこうした動きに対応できるのか、世界中が注目している。またシステムは変わっても、営業時間やルールが旧態依然、ということではPTSやECNの急進をくい止めることはできないだろう。

 世界的にはネットでの取引は24時間体制が当たり前。普通の取引でも午前9時から午後5時までが標準だ。昼休みを取るのはアジアの小さな市場くらいしかない。同じアジアでも韓国では昼休みは既に廃止している。東証のように1時間半ものお昼休みを取っていながら午後3時には営業を終える、というのは世界的に見ても珍しいのだ。それは、東証の労働組合の力が強くて、いまの経営陣では制度を変えられないからだ。だから、世の中が進んで電子的な取引の時代になったとしても、昼休みは取るし、昔の銀行のように午後3時には窓口(立ち会い所)を閉めてしまう。

 カブドットコム証券のPTSの概要を見て、「銀行みたいだな」と思われるかもしれない。そう、カブドットコム証券のPTSは、まさに銀行でいうATMなのだ。銀行では窓口は午後3時で閉めてしまうが、ATMで取引ができるようにしている。3時に窓口は閉まっても、PTSならその後の時間も取引ができるのである。つまり、インターネット証券会社の考えは、こういうことなのだろう。「東証は制度を変えない。だから、期待できない。となると、自分たちは証券取引所の外でやるよ」と。

 しかし、夜11時に閉めてしまうのはいただけない。わたしはインターネットの宅配スーパーを経営しているが(everyD.com)、注文のピークは夜の11時から12時の間である。おそらく株をやる人も同じく夜遅くになって、ようやくデスクに向かい注文を入れる、というパターンであろう。せっかくのPTSシステムなのだから24時間開業を初日からやらなくては意味がないだろう。銀行のATMは、最初は窓口と同じ時間、それから夕方5時まで、7時まで、とやって、ようやく24時間営業になったのはコンビニなどの設置が進んでからである。株式取引に関しては“じらし”は誰の利益にもならない。

 ECNとPTSがいっしょになると、もう証券取引所がまったく役立たずになる可能性もある。もし日本で、これらが自由市場として機能し始めたら、古い取引所ルールや身内優先の東証はどんなにがんばっても勝てないだろう。PTSの認可によって風穴が開いたことで、日本の取引所自体は存亡の危機に追い込まれ、自ら大転換を図って生き残るしかない、というところにまで至るだろう。これが取引所の大胆な体質転換につながるなら、金融庁のPTS認可はまさに正鵠を得た政策、ということになる。

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