第40回
A級戦犯問題を「論理思考」で考察する
経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年8月9日
第二次世界大戦の際に日本をリードしていた政治家や軍人の多くは、戦後になって戦犯として罪に問われた。A級戦犯、すなわち「平和に対する罪」を問われた人々は、数名の例外を除いて大部分が絞首刑に、または終身刑に処された。獄死した人も多い。
靖国神社は当初、彼らA級戦犯は祭ってはいなかった。だが、1978年に松平永芳氏が宮司に就任するや、それまで「宮司預かり」として保留となっていたA級戦犯の合祀(ごうし)を決定した。
先ごろ、靖国神社にA級戦犯を合祀したことについて昭和天皇が不快感を示す発言を記録したメモが見つかって大きなニュースになったことは記憶に新しいところだ。メモの主は富田朝彦・元宮内庁長官。小泉首相は、自らの靖国神社参拝への影響はないとして、在任中の参拝については言及を避けた。首相として終戦記念日に参拝する「自由」を縛られたくない、という気持ちが強いのであろう。
この時期にメモが公開されたことに政治的な意図が隠されているという声も聞く。しかしわたしはそんな意図はなく、偶然発見されただけではないかと思っている。
もともと昭和天皇が、A級戦犯合祀に非常に感じることがあったというのは前から知られていたことだ。実際、昭和天皇は合祀されてからは靖国神社への参拝をやめている(正確には1975年11月を最後に、以後、参拝していない)。
それ以降も昭和天皇は、千鳥ケ淵の慰霊祭には必ず出席しているのだが、靖国神社に足を運ぶことはついになかった。このことからも昭和天皇のA級戦犯への思いが推察できるだろう。
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