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「産業突然死」の時代の人生論

第37回
テレビCMが時代に取り残されていく
― 見るべきは視聴率ではなく視聴者心理?

経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年7月19日

変化する視聴スタイルに視聴率調査が対応できない

 テレビの視聴率は伝統的な手法、つまりモニターとして登録されている家庭に調査機器を設置し、どのチャンネルを見ているかを集計するという手法を使っている。米国も日本もそうやって統計を取っている。これはいわゆる「スープの理論」だ。大鍋一杯のスープと小サジに取ったスープとでは味や成分に変わりはない。だからある程度の母数を押さえて視聴状況をチェックすれば全世帯の状況もある程度正確に分かる、という考え方だ。

 ところが、この手法は現代のテレビの視聴方法と合わなくなっている。というよりもわたしに言わせれば、言葉は乱暴だがイカサマという感じがしている。まず、調査対象としている家庭数が少なすぎることが一点。そしてその視聴スタイルも激変していることが一点。これらのことを前提としない調査では結局偏った数字になり、正確な視聴率が出せないと思っている。

 言うまでもなく、広告業界にとって視聴率は重要だ。視聴率でCM料金が変わってくるからである。「視聴率6%の番組のCM料金は全国放送でいくら」「この時間帯の30秒CMを出すならばいくらです」と決まっている。お金が発生する以上、その基となる数字(=視聴率)の算出にはある種の厳密さとアカウンタビリティーが求められるはずだ。だが、現実には、視聴者の視聴スタイルの変化に視聴率の調査方法が対応できていないのが現状なのだ。

 それは、わたしが過去のコラムでもしばしば取り上げたTiVo、あるいはそれに類した新しい機器の存在が大きい(特別編2第15回第23回)。テレビ視聴家庭の30%にTiVoが普及している米国では、視聴率が下がってきていることが、主として広告業界でかなり深刻な問題となっているのだ。

TiVoとその画面
(c) 2006 TiVo Inc. All Rights Reserved.

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