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「産業突然死」の時代の人生論

第34回
デジタル業界の大再編を見逃すな
― 相次ぐ提携の先にある姿 ―

経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年6月28日

Suicaに見る業界再編の動き

 いま、デジタル分野では、デジタルアイランド(島)からデジタルコンチネント(大陸)へと向かう動きが始まりつつある。

 どういうことか説明しよう。これまでの状況は、商品別に独立した島があったようなもの。つまりデジタルアイランドだったわけだ。ところが、今後はそれらがつながっていって、大陸(コンチネント)が生まれていく。例えば、登場当初はただの定期券の発展版に過ぎなかったスイカ(Suica)が、いつの間にやらコンビニ決済機能まで持つようになったのはその典型である。

 つまり「デジタルアイランドからデジタルコンチネントへ」とは、業界の大再編が行なわれようとしている、ということを意味している。この動きが理解できれば、新しい事業機会を予見できるのではないだろうか。そのためには、今やっていることが淘汰される側にあるのか成長する側なのかをしっかり考えることだ。デジタル社会はスピードが速いので、ぼやぼやしていると取り残される危険がある。気が付いてから対応したのでは間に合わない可能性もあるのだ。

 まずは、前述したSuicaを巡る提携から見ていこう。多くの読者はご存知だと思うが、Suicaとは「Super Urban Intelligent Card」の略で、JR東日本が提供しているプリベイド型電子マネーのカードだ。JR東日本の定期券やプリベイドカードとして利用できるほか、コンビニ、レストランなどでも支払いが可能になっている。このSuicaを巡って様々な提携が相次いで起こっているのだ。

 その一つがJR東日本とヤフーの提携だ。この提携によって、2007年からSuicaを使ったネットショッピングが可能になる。リアルでしか使えなかったSuicaがネット上でも利用できるようになるわけだ。また両社の提携カードを発行し、相互のポイントを利用可能にする方針も明らかにした。

 もう一つが、横浜銀行との提携だ。同行ではSuica機能の付いたキャッシュカードを2007年度から発行していく。同じ機能のカードはみずほ銀行が発行しているが、地銀では初めてのことである。

 
 

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