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「産業突然死」の時代の人生論

三木谷氏にはGoogle的世界の恐ろしさが見えていない

 私が楽天、というよりはその総帥たる三木谷氏の行動を見ていると、いつもこんな疑念を抱かせられる。「どうも三木谷氏には、Google的世界の恐ろしさが理解できていないのではないか」と。Googleはネット上の商店街を陳腐化する。何しろ一瞬にして世界中の「それが欲しい人」と「それを一番安く売っている店」とを結びつけてしまうのだから。客は勝手にあなたの店を探してやって来る。

 つまり本当に優れたサービスなり商材なりがあるのなら、何もわざわざ楽天の傘下の商店街に入るメリットはないのだ。にもかかわらず楽天は月額5万円もの出店料を徴収する。これは主婦が趣味の延長線上で運営しているような個人商店(そういう店は楽天市場には無数に存在する)にはかなりの負担であろうと思うが、楽天に参加している店主は本当に出店料分のメリットを感じているのだろうか。人々がそのことに気づくのは、そう遠い未来のことではないはずだ。

 だいたいネットワークが高度に発展している国において、こんなビジネスモデルで成功した企業の例は存在しない。センダントやジオシティーズの例を思い出してほしい。彼らもネットワーク黎明期には利益も出せたし、大きな成功を収めることもできた。しかし人々がリテラシーを向上させ、デジタルを日常的に使いこなしていくのに反比例するかのように次第に先細りになって行き、ついには弾けたではないか。アメリカではサイバー百貨店はほとんど全て縮退し、私がシングル・テーマ・パークと呼んだ“専門店”が繁盛してきている。ではどうして何でも屋の楽天商店街は成功しているのか? 私にいわせればそれは、単純に日本というサイバー後進国で開店していた、という「運」でしかない。そのことを知っているかのように三木谷夫妻は最近の増資にタイミングを合わせたように自社株を売って200億円を手にしている。もしかしたら潮時を感じているのかもしれない、と思うのは私だけだろうか?

 Googleのトップページにアクセスすると、右の方に「more」というリンクがある。そこをクリックすると、彼らが現在提供中、あるいは開発中のツールが参照できる。さらにベータ版やマスコミなどへの発表で注目すべきは「ローカル」「ベース」「財布」「ポイント制」の4つだ。その他にアメリカ版ではファイナンスがある。これらがあれば楽天市場に入っていない人であっても、決済なども含めて楽天と同等のサービスが受けられるようになる。

 特に“ベース”ではHPを持っていない人でも自社案内を書き込めばそれを検索の対象として載せてくれる。もはやHPを勝手に駆け巡る無機質なロボットエンジンではなくユーザーの求めているあらゆる情報をその心情まで含めて最短距離で提供する優れものに脱皮しようとしている。ブロードビジョンやブルーマルティーニ等のソフトがやろうとしてなかなか出来なかったユーザー側の心理までも反映した“サイバージャングルの水先案内人”になろうとしているのである。さらに“財布”はシングルサイン・イン(一度登録すればグーグル上どこに飛んでも財布が付いてくるので買い物したい時には、即座に支払い機能がそのページについている)を狙っていることは間違いない。“ポイント”は楽天や航空会社のマイレージと同じ機能を付加することを狙ったものであろう。つまりグーグルは検索サイトのフリをしながら広告モデルで儲け、その限界が来たら、電子商流・商取引に転換する狙いがある、と私は見ている。“ベース”ではNTTのタウンページがぶっ飛ぶだろう。これとローカルを併せれば下手なGPSも要らなくなる。そして何よりもユーザーが求めているものは一発検索できる、一発注文できる、一発決済できる、という機能だ。電子商店街に出店していない会社の品物やサービスであっても、だ。こうしたことを楽天の三木谷氏は脅威に感じないのだろうか。

(参考URL)
Googleの機能画面など。
http://www.google.co.jp/intl/ja/options/

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