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「産業突然死」の時代の人生論

第21回
日本人よ、インドの経営者の志に学べ

経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年3月22日

世界の医療基地として発展しつつあるインド

 インドの話をもう少し続けよう。

 前回のコラムで「インドでは高度な医療が安価で受けられる」と書いた。そのため欧米からも患者が押し寄せていて(これをメディカル・ツーリズムという)、インドの有力な産業に成長しつつある、と。これはかなり意外に感じられた方も多いようだ。一般に医療先進国といえば米国と日本、そしてドイツじゃないのか。インドのような渾沌と貧困の地で高度医療とはちょっと信じられない、というわけである。

 しかしこれは厳然たる事実なのだ(そもそも世界で最初に外科手術を成功させたのはインド人である!)。同国には「アポログループ」という名の医療法人がある。同グループは心臓手術の成功率を公表している。どれくらいかというと、これが実に99.7パーセントだという。信じられないって? しかし米国の保険会社は、心臓手術が必要な契約者をわざわざインドに送ってアポロをはじめとした同国の優良施設で手術を受けさせたりもしているのだ。

 それがどういう意味かは説明するまでもないだろう。保険会社にとっては契約者がなるべく健康に長生きしてくれた方が都合がいいのだから、わざわざ医療レベルの低いところに患者を送る必要などないのである。だからこれは「成功率99.7パーセント」を裏付ける事実といえよう。日本では手術の成功率を公表する病院そのものがきわめて少数であることを考えれば、そもそもきちんとした数字を出してくること自体大したものとはいえまいか。

 いうまでもないことだが、インドへの渡航費用・手術料はすべて保険会社持ちだ。何しろ米国で心臓手術を受けると、およそ5万ドルはかかる。それがインドなら5000ドルで済むのだから、保険会社にしてみれば渡航費用くらいどうということもないわけだ。そういえば昨年のことだが、作家の石川好氏がインドで治療を受けて難病を克服したというニュースが報道されたことをご記憶の方もいるだろう。

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