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「産業突然死」の時代の人生論

「買いたくて仕方ない」心理がたまっている

「悪いニュースが出尽くした」というのは、さまざまなメディアから感じ取れることである。CNNやブルームバーグを見ても、これは何かのコメディではないのかというぐらい明るいニュースを流している。株価が少し上昇したぐらいでそんなにうれしいのか、というほど能天気な状態である。

 しかしこうしたニュースは、少なくとも米国民の集団心理には訴えかけているのだ。これは国民性の表れと言ってもよいだろう。日本人は一度市場からそっぽを向くと、「そろそろ買いに走ってもいいんじゃないですか?」と声をかけられても振り向かないが、米国人はそうではない。先取りしたい、一歩先を行きたい、今回は買い時を逃さないぞ、という国民性がある。イソギンチャクとブルドックの違い、と言ってもよい。

 先に「オバマ氏の政策の手札が出尽くした」と述べたが、氏の政策がそれほど明確に奏功するとは、わたしには思えない。今回の株価上昇のあとに二番底が待ち受けているのかどうかも慎重に見極める必要があると思われる。しかし現在の米国民の中に、「買いたくて仕方ない」という心理がマグマのようにたまっているというのは事実だ。

 本稿冒頭で述べたように、今回の金融危機は金融機関の危機であって、大多数の米国民の生活水準はマクロ的に見れば決して悪化はしていない。また彼らの基本的なマインドは売買に忠実である。そして「買いたくて仕方ない」というマインドが現在、株は買いだというところへ収束しつつあると見て取れるのだ。

 ここ数回の当連載で触れた「大前流心理経済学」を米国が意図的に実践したわけではないのだろうが、マスメディアの動きを追ってみると、悪いニュース、暗いニュースを避けようという姿勢が見られる。それと米国の国民性も相まって、経済好転への兆しがほんの少し見えつつある、というのが現状だ。わたしはこれを少なからずよいものととらえている。今週のG20では古い自動車を買い取るなどの、まさに「心理経済学」を活用して効果を出しているEUとの復活アイデアの競演になるだろう。OECDの中で数字的には一番落ち込みが激しい日本がロンドンに何を持ち込むのか? 手ぶらでは出かけられない。

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