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「産業突然死」の時代の人生論

ヒュンダイが繰り返そうとしている愚行

 その現代自動車だが、2月5日から新型大型観光バス「ヒュンダイ・ユニバース」を日本で発売すると発表した。同社の日本法人であるヒュンダイモータージャパンを通じて日本の排気ガス規制に対応した大型観光バスを輸入販売するという内容で、日本のバス市場に参入したというわけである。

 この大型観光バスは、既に2007年の東京モーターショーで参考出品されたモデルだ。長距離の高速道路を何度も往復したりなど、日本のさまざまな条件で走行試験を続けて研究開発されたものである。また、輸入大型バスとしては初めて、世界で最も厳しい長期排出ガス規制をクリアして、国土交通省の輸入車特別取扱制度による型式も取得したという。価格は国産車に比べて2-3割安の2500万-2700万円となっている。

 現代がこの大型観光バスをもって「いま」日本のバス市場に参入したのは、ウォン安が理由だそうだ。しかし、わたしに言わせればこれは間違った経営判断である。今、為替が安い、競争力があるので参入すると現代は言っているが、長期のアフターケアが重要な自動車という商品を販売して、仮に10年後に為替が高くなったらどうするのか。ケアは割に合わなくなったからやめるとでも言い出すのだろうか。

 実際、現代は一度米国に進出して撤退した。再び進出したとき、その当時のアフターケアの不備が米国のユーザーに強いしこりとなって残っており、大変不評を買っていたのである。したがって、いまは為替が安いからなどという理由で市場参入することは許されない。自動車産業の世界進出とはそんないい加減なことで行われてはいけない。

 ただ、現代は米国で現在好調であるし、上記のとおり起亜も含めれば韓国ではほぼ独占状態にある。また、途上国においては、日本よりも現代のほうが進出している国もある。全世界的に見た場合、現代がホンダさえ上回る大きな会社となっているのは事実だ。今回の報道は新聞の誤報かもしれないが(そう願いたいが)、為替が強くなったから市場に参入したというのは、自動車会社の経営者が一番、言ってはいけないことである。

 現代のバスは韓国国内ではどこでも見られるもので、それこそ韓国国内においては独占状態にある。その理由は質のよさだ。業界事情に詳しい人によると「かなりの優れもの」という評判である。為替相場が安定しても十分な国際競争力を持った商品であるといえるだろう。そうであるからこそ、アフターケアも含め、万全の体制を整えた上での市場参入を強く希望したいところだ。それが世界進出を図る企業に求められる経営上の倫理である。

 さて、日米の自動車の需要見込みであるが、しばらくはかなり悲観的に見ておいたほうがいいだろう。米国の場合、一家で3台持っているということも珍しくない。金融危機で心理的に凍てついてしまった家族は、1台売ってしまっても不便はない。多くの人がそうした行動を取れば対前年比50%減、という状況でも、誰も困らないのである。日本は車検を一回延ばすことで、3年で買い換えていた人は5年に、5年で買い換えていた人は7年にとなれば、やはり対前年度比30%ダウンも異常ではない。つまり車が完全に普及してしまっている国において需要が伸びていたということは、実は心理的に余裕があった、ということである。耐久消費財の恐ろしさは、心理ひとつで需要がプラス・マイナス数十%上下するということである。それだけにマスコミや政治家が親切のつもりで景気対策・刺激策を乱発すればするほど(まだ厳しいのだという心理から)実需が落ち込むという循環になる。

 米国も日本も、この期に及んで貯蓄が増えている。困っているというより、萎縮しているという側面が強いのである。自動車会社はかなり長期的な冬の時代を覚悟しないといけない。

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