バックナンバー一覧▼

「産業突然死」の時代の人生論

混迷を極める韓国自動車産業

 さて、米国・日本と見たところで、その他の海外自動車メーカーにも目を向けてみよう。

 2月5日、インド財閥傘下のタタ自動車が、新車販売台数の急減少から資金難で部品代の一部が未払いになっていると現地メディアが報じた。同社のラビ・カント社長も同日「流動性の問題に直面している」と支払いの遅延を認めた。

 また、ソウル中央地裁は2月6日、韓国の自動車第5位の双竜(サンヨン)自動車に対して法定管理手続きを開始したことを明らかにした。これは同社が経営の自主再建を断念したということであり、日本では会社更生法の適用を受けたということに相当する。事実上の経営破綻だ。

 下の図は、韓国の上位自動車メーカーの2007年の生産台数と輸出台数である。上記のとおり双竜は韓国第5位の自動車メーカーだ。

韓国の上位自動車メーカー

 既に1月9日の時点で双竜は、ソウル中央地裁に法定管理を申請したと発表していた。1カ月近く経ってようやくソウル中央地裁が法廷管理の手続きに着手したということである。わたしが先日、韓国の双竜の販売店に出向いたところ、まだ店舗は営業していた。双竜は独メルセデス・ベンツからエンジンなどの技術供与を受け、SUVを中心に製造販売を行っているメーカーであるが、わたしが見たときも非常にSUV車が多かった。

 同社はいろいろと紆余曲折があった自動車メーカーだ。1997年には大宇(デーウ)自動車に買収され、双竜の車種は大宇のブランドで販売されるようになったが、2000年に大宇は経営破綻した。その後、双竜はしばらく債権団の管理下にあったものの、2004年に中国の上海汽車集団(SAIC)が株式の49%を取得し、上海汽車の傘下となった経緯がある。

 今回の双竜の経営破綻の背後には、もちろん上海汽車が「見捨てた」ということがある。事実、双竜は上海汽車に支援を要請してきたのだがそれはかなわなかった。上海汽車も傘下の会社の面倒を見ていられる状況ではないというお家の事情もあったのだろう。双竜は、車自体は四輪駆動の上質のものを生産しており、先述のとおりショールームもまだ開いている状態なので、どこかのメーカーが救済してくれることを待っているのかもしれない。しかし韓国政府は救済しないだろう。

 さらに言えば、いまの世界の自動車メーカーで双竜が欲しいというところは、わたしはまず存在しないと思う。ルノーサムスンも現在ルノー本体が厳しい状態にあるし、かといって日産が買い取るかといったらこちらも経営状況があまりよくないため難しいだろう。GM大宇も、もしGMが倒産ということになったらまた大宇を売りに、ということになるだろう。

 現代(ヒュンダイ)が買収するのは、独禁法の問題があり、できない。韓国自動車メーカーの二大トップは現代自動車と起亜(キア)自動車であるが、既に起亜は現代の傘下にある。つまり、韓国の自動車メーカーは実質上1社だけという状況なのだ。したがって双竜が「消える」としても、現代に打てる手は少ない。韓国の自動車業界は今後、さらに一転二転する可能性があるだろう。

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。