国内自動車産業は堅調か?
さて、国内自動車メーカーの動向はどのようになっているのだろうか。
スズキは2月5日、2009年3月期の連結営業利益は670億円であると発表した。赤字にならなかっただけ立派ともいえるが、前期比では55%減であるから、決して楽観はしていられまい。トヨタは2月6日、同じく09年3月期の業績見通しで営業損益が4500億円の赤字見通しと下方修正を発表した。トヨタは見通しをするたびに下方修正しているので、実際に決算を迎えないと現実のところどのくらいになるのか分からないというのが実情だろう。
スズキが黒字のまま行けそうな理由は主に二つある。一つは、昨今の景気後退のあおりを受けて、国内では軽自動車の販売が非常に好調であることだ。そしてもう一つは、インドでの売り上げが昨年の半ばごろまでは好調だったためだ。スズキが2月2日発表したインドでの1月の乗用車販売台数は前年同月比5.6%増の6万7005台で、4カ月ぶりにプラスに転じた。単月の販売台数としては過去最高。同社の現地法人幹部は「昨年12月に政府が実施した減税策が奏功した」とみている。
だからといってスズキが安穏としていられないのは当然である。「昨年のなかばごろまでは好調だった」とはつまり、ここしばらくは落ちてきているということだ。スズキはインドの自動車販売のシェア約50%を誇る一大ブランドであるが、来年度(2010年3月期)は厳しいものになると思われる。
トヨタに関しては、先ごろ米ムーディーズ社が長期債務格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に一段階格下げしたと発表した。またスタンダード&プアーズ社もAAAからAA+へと格下げした。ただ、格下げといっても、わずか一段階である。今期、トヨタは国内企業では過去最大の営業損失を出そうとしている。にもかかわらず、これらの格付け会社が一段階しか格下げしなかった理由は、トヨタの財務基盤が非常に安定的で、クレジットリスクが非常に低いと判断したためだろう。バランスシートを見れば内部留保も多くあり、財務基盤にガタが来ているとは言えない。
ただトヨタは、ここで無理して売りに出て手元資金を使い果たさないようにすべきことが重要だろう。売れなくてもここはじっと我慢し、売り上げが減ってもそれに耐えていくことが求められる。売るために値引きをしたり、無理なファイナンスをつけたりしてお金を使い果たしてはいけない。これが経営上のコツだとわたしは思う。
三菱自動車は2月4日、ダカール・ラリーから撤退を表明した。約30億円の参戦経費削減が目的である。三菱はかねてモータースポーツ事業に注力しており、1983年からパリ・ダカール・ラリーの四輪部門に参戦して、1985年には同社を代表するSUV車・パジェロで初優勝を成し遂げた。その後もたびたび優勝を重ね、2001年の第23回大会から2007年の第29回大会まで7連続優勝という快挙を達成している。
三菱自動車とモータースポーツの関係については、2004年、同社のランサーがFIAプロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)で全7戦中6勝を記録するなどの好成績を残し、これが評価されロシアで数多く売れていたという実績がある。
三菱自動車の数少ない特長であったラリー参戦がなくなるのは大変残念なことである。海外市場での競争力向上に寄与する重要な資本投入がラリー参戦であったからだ。30億円の参戦経費が捻出できないのなら、日本国内における広告宣伝費(300億円)を一割削ってでも参戦を続けたほうが三菱自動車にとってはプラスになったのではないかとわたしは思う。
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