『失われた15年』が残したもの
高齢化する日本にまったくいいところがないかというと、必ずしもそうではない。日本の良さはなにかというと、「低成長」「失われた15年」などと言いつつも、金だけはためてきたということだ。外貨準備高こそ中国のほうが積み上がっているが、日本のほうは個人金融資産がきわめて強くなっている。この「失われた15年」の間に、個人金融資産はほぼ倍増しているのだ。「失われた15年」は、本当は少しも失われていなかったのである。
さて、そこで浮上する日本の最大の問題は何か。資金的ニーズの少ない高齢者が、実は一番お金を持っているということだ。一方で若い人は、資金的ニーズはあるのに現金がない。わたしがもしも為政者ならばここに焦点を当てた戦略を打ち出すだろう。実際、ニーズのあるところへ的確に資金を回す施策を採るかどうかで、今後の日本の景気はガラッと変わるだろう。
日本はバブル崩壊後、低金利施策などをはじめとするマネーサプライを行い、市場をジャブジャブに潤す政策をとった。しかし、それがなんの効果もなかったことは我々日本国民が身をもってよく知っているところだ。「借りたい人は返済が危ない人」「(銀行にとって)貸したい人は借りる必要のない人」という状況にあっては、いくら金利を下げてみてもまったく関係ない。
以前の当連載でも述べたように、米国はバブル崩壊後の日本が行った政策を忠実に踏襲している(例えば『第139回:米国はバブル崩壊後の日本をなぞるのか』や、本テーマの第1回コラム)。金利も大きく下げた。それでも、リスクの高い会社にはリスクプレミアムが5%以上つく。本当に危ない会社に対しては15%ぐらいつけている。貸し倒れのリスクを減らす、という理由はわたしも一応の理解はしよう。だが当座の問題は、本当に必要としているところに金が届かないことだ。米国首脳は日本の陥ったすべての問題を実に忠実に再現しているということに早く気づくべきなのである。このままでは米国は、いくら景気対策のお金を市場に流し込んでも市場がそれを吸収しない、公共投資などの経済誘発効果は限定的――という日本の15年間の経験をそのまま繰り返すことになる。
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