金融庁に翻弄される不動産・銀行
「買い手がいない」というのは、不動産も同じだ。
日本では2007年に土地のミニバブルがあったが、東京圏および都心部の地価変動率の推移を確認してみると、都心の一部で50%程度、東京圏で見ると20%程度の上昇に過ぎない。世界の主要都市と比べて見れば大したバブルではなかった。それでも一昨年2007年の7月に金融庁は、特に不動産の値上がりが懸念されるということで、金融検査の厳格姿勢を打ち出した。このため銀行は不動産融資に慎重になり、融資額も減少した。2008年になって倒産する不動産・建設業者が相次いで現れたのは、実はこの影響が大きい。
いや、実のところ件数的にはそれほど倒産が増えたわけではない。しかしここで特筆すべきは黒字決算で倒産した企業が多いということだ。なぜ黒字なのに倒産するのかというと、銀行が融資しないため、資金繰りが悪化するからである。銀行は企業の経営内容を見て貸すか貸さないか判断しているわけではない。銀行にとっては絶対的な存在である金融庁が「不動産には貸すなよ」と言うから貸さないのだ。こうなると銀行の存在意義にすら「?」が付く。
経営状態は悪くないのに、資金が枯渇して倒産。「しばしばあること」ではあるのだが、考えればこれは実に不条理である。
銀行は中小企業への融資を渋る一方で、大企業には貸し出しを増やしている。金融庁の指導がそれを促しているからだ。金融庁は貸し渋りや貸しはがしを現に慎むように指導している。しかし銀行が資金の必要な企業に融資をすると、今度は金融庁の別な部門の役人が来て、「これは破綻懸念先ですね。75%の引当金を積んでください」と言うのだ。これは銀行にとっても負担が大きく、となればたとえ名の通った大企業にも「貸せない」という状況になる。同じ役所から全然違うことを言われて、銀行はいったいどうしたらいいというのだ。
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