もはや1国では救えないほど大きくなりすぎた銀行
欧州に関して言うと、今回の金融危機で明らかになったことの一つに、欧州中央銀行の構造的な問題がある。これについては今回のコラムテーマの(1)で触れた。そしてもう一つ明らかになったことがある。それは「欧州の国はおしなべて銀行の規模が大きくなりすぎた」ということだ。
例えば、英国の銀行トップ3を合わせると、その金融資産は同国GDPの3倍ある。スイスには大きな銀行は二つしかないが、そのUBS(United Bank of Switzerland)とクレディ・スイスの2行合わせると、なんとGDPの7倍だ。母国がたまたま英国にある、スイスにある、だから、英国、スイスが救済しろと言われたってそれはできない。欧州系の銀行は、もはや鬼っ子のように大きく、グローバル化しているのだ。
それだけ大きくなれたのは、経営ノウハウがあったからであり、サクセスストーリーではある。その意味では決して非難さるべきことではないのだが、一朝事があった、倒れた、というときに誰が救うのかというと、国家はまったく救えない。にもかかわらず、資本投入したり口約束をしたりするところに国家の危機がある。例えばスイスで先の2行が危機に陥ったときに、スイスの国民が総出で助けようとしても救えないのだ。だから、わたしは「母国が救う」という今回のスキームはダメだと思う。アイスランドは一気に国がつぶれた。つまり、全世界は一緒になって、金融安定化のための新しい仕掛けをつくらないとだめだ。各国がバラバラにやっていれば、投機家の餌食になるだけである。
そのような観点からすれば、昨年11月にブラジルのサンパウロで開かれたG20の共同声明などは、わたしに言わせれば「空念仏」としか言いようがない。「市場機能回復を図るためあらゆる措置を取る」とか「金融規制、監督体制を改善する」とか、まったく具体的ではない。「金融当局は必要に応じて適切に行動」に至っては、まさにそのとおり、確かにだれも反対できないが、それは「母の恩はありがたい」というのと同じだ。つまり彼らは、冗談じゃないかと思うほど、何も理解していないということだ。20人集まろうが、G8で8人集まろうが、何も理解していない。わたしがこうして分析している程度のことをして策を考えれば何か出てくるだろう。それもせずに、おためごかしを言っているに過ぎないのだ。G20の首脳が集まって、いかに皆何も理解していないか、というシグナルを世界に発信したに過ぎない。これは各国首脳の大きな怠慢であると指弾せざるを得ない。
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