第160回
金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(3)
経営コンサルタント 大前 研一氏
2009年1月21日
今回の金融危機に対する世界の取り組みを見て、二つの大きな弱点が浮き彫りになったと言える。一つはIMFの限界、もう一つは国の限界である。
まず、各国の状況を見てみよう。この図をみると、各国の政治家たちは金融支援安定化策というのをほとんどはちゃめちゃ、でまかせ、プランもなく思いつくままに言っていることが分かる。いまや国家による「救済策オリンピック」の観がある。
米国は、金融機能安定化法・住宅公社救済・シティの債務に政府保証・その他各種支援‥‥といった具合に、あえて言えば勝手気ままな対策を打ち出している。それは欧州諸国も同様だ。アイスランド、スウェーデン、英国、フランス、ドイツ、スイス、ベルギー、イタリア、スペイン‥‥いずれの国々もまるで歩調の取れていない、ばらばらの対策を行っている。
IMFには現在、ハンガリー、ウクライナ、アイスランド、パキスタン、ベラルーシ、キルギスタン、ルーマニアといった国々が支援を要請している。そのIMFに日本は先ごろ、10兆円拠出することを表明した。だが、金利は2%しかつかないし、日本がIMFを通じて支援しても、1997年のアジア通貨危機の際の韓国がそうであったように、感謝されない。
しかも今回の危機に対して、この欧州主導の機関、IMFは、高みの見物よろしく、何の機能もしていない。本来、IMFというのは、ブレトン・ウッズ協定の後に、先進国の通貨安定の仕掛けとして創設されたはずなのだが、今回の金融危機においてIMFは、通貨安定の仕掛けをなにもやっていない。とくにお膝元のユーロがヘッジファンドの空売りにあった先月あたりも手をこまねいているだけだった。
将来の金融危機に備えようというのなら、もうこんな組織はやめて、新しい組織を作らなくてはいけない。それがわたしの意見だ。
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