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「産業突然死」の時代の人生論

欧州リーダーたちの勉強不足

 ユーロは現在、非常に安い。理由は空売りである。ヘッジファンドが痛手を被っていてユーロぐらいしかもうかるものがないということで空売りを行っている。

 EUと欧州中央銀行の創設を定めたマーストリヒト条約には、通貨を防衛するという機能がうたわれていない。ユーロ圏15カ国は通貨防衛という試練にさらされたことがないのである。ヘッジファンドは欧州中央銀行を空っぽにしようと思えばできる状態であって、だからこそユーロの空売りが行われている。

 また、ユーロ圏のなかでも、ユーロが安いほうがよい輸出立国もあれば高いほうがよい金融立国もあり、それぞれ立場が違うために意見が合わない。ユーロは事実上通貨防衛において無力なのだ。これが欧州中央銀行の欠陥である。これを直さない限りユーロは翻弄され続ける可能性がある。

 ここでキーマンとなるべき仏サルコジ大統領や独メルケル首相は、残念ながら経済政策の手腕には疑問が残る。それは彼らの発言を見れば明らかだ。例えばメルケル氏は「ドイツ全預金者の預金を守る」と公言している。それは「ドイツの国家予算の3倍の金を守る」と言っているのに等しい。絵空事であるのは3歳児でも分かるだろう。

 わたしが思うに彼らは不勉強であって、口から出任せを言っている。なぜ一国を代表する政治家がそんなことを言うかというと、「パニック状態に陥っているから」である。投機家から見たら、いいように売り浴びせられる絶好の機会でしかない。

 最後にもう一度米国に話を戻そう。

 ブッシュ政権下で財務長官を務めているヘンリー・ポールソン氏は、元ゴールドマン・サックスの会長兼最高経営責任者である。だから、問題が起これば解決するという本能がある。しかしシステミック・プロブレムに対してはシステミックに対応しなければならないところを、個別案件処理で対応してしまっている。だからパニックが去らずに、本稿冒頭の「地震計」で見ていただいたように、地震は収まる気配がない。

 次回は、この大地震のもう一つの活断層ともいえる、シティバンクの問題を取り上げる。

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