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「産業突然死」の時代の人生論

新興国の資源バブル、先進国の住宅バブル

 2000年に入ってから、いわゆる「新興国ブーム」が到来した。この新興国の経済成長の裏で、資源や食料などの需要と供給のバランスが崩れはじめた。つまりはレアメタルや穀物が暴騰するというバブルが生じたのである。2000年以降の世界の経済成長はこうした新興国が牽引してきた。

 一方、その間、先進国はひたすら経済成長せず、住宅の方へと走った。

 前述した1990年代のバブルは商業ビルの建てすぎであり、それがもとで北欧の銀行危機なども起こったわけである。ところがブッシュ以降の米国は、この事実をどう見ていたのか定かではないが(察しはつくが)ひたすら住宅にバブルを譲るようになった。

 住宅供給が過多となり、「もう住宅は要らない」という状況になってからも、なお米国では住宅を売った。本来家を持てそうにない人、クレジットカードの支払いが過去半年で一度ならず滞ったような人(これがサブプライムの定義である)にまで住宅を売りはじめたのだ。それがこの4~5年のことである。

 どうしてそんな人たちに売ることができたのか。それは「これで住宅の価格が上がっていけば、今買って2年後にローンを組みなおせばよいのだ、それで資産になる」―― そういうペテン的発想と口車をもってして売ってしまったのである。このローンを小口債権化して、健全なプライムローンと混ぜてCDO(債務担保証券)として世界中にばらまいた。これがサブプライムローン問題の実情というわけだ。

 ところが2007年の春ごろから住宅の価格が上がらなくなった。サブプライムローンの前提にあった「これから価格が上がるから」という前提が崩れた。そして支払いが滞る。米国では「3カ月支払いが滞れば法的に家を取り上げることができる」と、ほとんどの州で定めている。となると支払いが滞った家はオークションにかけられ、供給過多によりますます住宅の価格が低下していくという悪循環に陥る。それが2007年の8月のことで、これが米国発のサブプライムショックとなったのだ。

 こういった具合に、世界はバブルのあとは必ず金融危機が訪れている。だからなにも今回のことは珍しいことではない。ただし、これまでの金融危機は、特定の産業中心であったり局所的であったりして、伝播のスピードも遅かった。実際、1997年6月のアジア通貨危機は、韓国に波及するまで半年かかったことを思い出してほしい。

 ところが今回の金融危機は、2008年9月のリーマンショックを機に瞬時に欧州に波及し、そしてほぼ同じ月に中近東に波及し、ひと月遅れて中南米へ広がった。このように、ほとんど世界同時、そしてほとんど全産業について影響が出ているのが今回の特徴である。いまやニコニコ笑っているのはマクドナルドとユニクロだけといった状況になっている。米国ではウォルマートなど一部を除いては全産業が前年を下回っている。

 実際、リーマン破綻の影響は大きかった。というのも米国経済は9月までは「なんとかなっていた」からだ。前年比で下回ったといってもマイナス一桁台のポイント。それが10月になるといきなりマイナス30ポイントなどにまで落ちてきた。11月になると状況は更に悪化し、マイナス70ポイントという産業も続々出てきた。

 12月になると「ちょっと悪い」程度にまで多少持ち直すが、無論のことこれは状況が改善したからではない。もはや誰もが「不況である」と構えているので、例えばクリスマス商戦などは、セール後の売れ残りを売るような値段で最初から出して数字を確保しようとした結果に過ぎない。そういう状態であるから「前年比」という言葉があまり意味を成していないというのが現状である。

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