かつて見たことのない米国
米国でも、家や車といった高額な耐久消費財を購入する際にはクレジットを組むのが普通だ。ところがサブプライムローンの破綻以降、米国ではクレジットを発生させる仕掛けが壊れてしまっている。皆さんもご存知のように、米国は高度なクレジット社会であるから、これは由々しき事態だ。
サブプライムの「元凶」でもあるファニーメイやフレディマックが事実上国有化されてしまった現在、両社に新たに住宅ローンを買い取る余力はもはやない。銀行も住宅ローンを出すのは困難になっている。
銀行が出した住宅ローンをファニーメイやフレディマックなどが裏で買い取り、小口債権化して世界中にばら撒いてきた。その額は両社合わせて実に500兆円である。これは米国の住宅ローン合計額のおよそ半分だ。その発行元が実質国営化となれば、新たにクレジットを発行することは難しくなる。他行の出したローンを買い取る余力はない、と見てよい。
もちろん、現在も米国では住宅ローンは出されている。しかしそれは、かつてあった健全さは失われている。なにしろ住宅ローンのうちの26%は、FHA(Federal Housing Administration:連邦住宅局)の保証がついている。つまりローンの債務者が債務不履行となった場合、「債務者に代わってFHAが責任もって払いますよ」と言っているわけだ。米国政府の過度の救済策がこの期に及んで「いつか来た道」に戻ってしまっている。
と、こう書けば誰もが気づくことであろうが、これはまったくサブプライムと同じような仕組みである。本来、家が買えるような状態ではない人々に買わせるようなものとなっていることまで同じだ。つまり、本来はとても買えそうもない人に、政府保証があるからいざというときにも大丈夫ですよと甘言をささやいて、今もなお買ってはいけない人々に住宅を売り込むという人為的な操作が行われているのだ。その意味では、今もなお米国で住宅ローンが出続けているという事実そのものが「クレジットを発生させる仕掛けが壊れてしまっている」ことを側面から証明しているともいえる。
現在、我々はかつて見たことのない米国を目の当たりにしている。すなわち「なにか問題があった場合には連邦政府がフォローする」という米国だ。言うまでもなくそれは「米国=自由主義経済・市場原理」といったイメージの対極にあるものだ。
こうしてコペルニクス的転回を遂げた米国はいま、大きな二つの課題に直面している。ビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)をどうするか、そしてシティバンクをどうするか、である。いずれも大規模なオペレーションが必要となることは間違いない。これについてはいつか機を改めて言及しよう。
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