第157回
経済を大きくする税制
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年12月3日
いま、政府の税制に対する考え方が変わろうとしている。それは主として住宅ローン減税の改正から読み取ることができる。
先般、自民党税制調査会の柳沢小委員長は、2009年度の税制改正について、所得税だけでなく住民税からも税金を差し引ける制度を導入する考えを示した。この制度のポイントは、収めている所得税よりも多くの税金を控除できるようになることである。これが実現すれば大きな進歩といっていい。従来の住宅ローン減税は単に所得税から差し引かれるだけであったのだから。
具体例で説明しよう。ある人が家を購入して、翌年50万円の所得税控除を受けられることになったとする。簡単に言えば所得税の納税額が50万円割り引いてもらえることになったわけだ。ところが、その人が収めている所得税が20万円しかなかった場合は、控除額も20万円となり、差額の30万円は消え去ってしまう。これが従来の税制だ。
ところが新しい税制では、所得税だけでなく住民税からも税金を差し引いてもらえる。つまり所得税は20万円でも住民税が30万円以上あれば合計50万円の満額控除が受けられる。要するに、所得がそれほど多くない人でも住宅ローン減税の恩恵を受けやすくなるのだ。過去最大の住宅ローン減税である。
ここ最近住宅市場は落ち込んでいた。これは当連載の129回、『日本を襲う官製不況の嵐(1)』で指摘した官製不況である。つまりは政治的無策による不況だ。海外の住宅不況はサブプライムローン問題の余波であったが、日本の場合は建築基準法を改正したことが原因だ。偽装建築が問題化されたことから役所が過度に反応して、なかなか建築の認可を出さなくなってしまい、その結果として住宅市場が冷え込んだのである。
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