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「産業突然死」の時代の人生論

これから為替や世界経済はどうなるか?

 今の経済実態を見るとドルが強くなる理由が見あたらない。特に銀行や自動車会社の救済で米国政府が大量のドルを印刷することは避けられない。本コラムでも述べたように、米国は既に刷ってしまったドルを世界中から集めて流動性を確保する仕掛けを作るべきであった。その初動に失敗したまま、金融機関などの不良債権買い取りや25万ドルまでの預金を保証する法律を通してしまった。預金保険機構には4兆円くらいしかないから当然新らたな資金投入が必要となる。

 ドルの信認が失われたらどうなるか? 当然ユーロが再浮上すると予想されるが、その時に米国の預金金利が1%台であれば、米国人が大挙してユーロシフトする可能性が高い。当局もこれを一番心配していると思われるが、今のところわたしが2000年に書いた“The Invisible Continent”(邦訳「新・資本論」)のなかで述べているアトランチックの戦いは起こっていない。ドルとユーロの最終戦争である。

 しかし米国の預金者がユーロシフトし始めると、これをくい止めるには相当な金利差を付けておかなくてはならない。今の米国にはその力はない。ユーロにもその力がないが、米国の金融システムよりも傷が浅いように見える(英国は米国を上回るくらいのバブルがあったが、ユーロには入っていない)。

 この戦いは米国にとっては厳しいものになる。最終的には米ドルとユーロを統合するところまで行くだろう、というのが前述の拙書での結論である。新しい通貨にはドーロとかユーラーという名前を付けた。

 今回の金融危機は史上初のサイバー取り付け騒動を起こすなど、目下貴重な経験をふんだんにばらまきながら世界中を覆っている。この後、実体経済の長い回復過程が始まるであろうが、失業などの社会問題に関してはこれからである。

 1929年の大恐慌の後にも長いプロセスがあり、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策なども試みられたが、結局明確な回復がないまま第二次世界大戦に突入してしまった。今回も新ニューディールが必要という人もいれば、戦争しかない、という人もいる。願わくはバラク・オバマ新大統領が新しく革新的な経済政策を生み出してくれることであるが、ボルカーやルービンなどのベテランが顔をそろえても期待はできない。わたし自身の新ニューディール政策に関しては稿を改めて詳述したい。

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