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「産業突然死」の時代の人生論

第150回
世界に広がるチャイナフリーの動き

経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年10月15日

 当連載の第146回『日本語に強いアウトソーシング拠点、大連の研究』(前編)、および第147回『同』(後編)で、わたしは大連の発展ぶりや先進的な取り組みなどについて紹介した。まず好意的な内容のコラムだったといっていいだろう。しかしこれはあくまでも中国の一側面に過ぎぬのであって、だから中国の何から何まで手放しで評価を与えるわけにはいかないのは当然のことだ。

 光あるところ必ず影もある。近年の中国の目覚ましい経済発展ぶりは、それだけ見れば「光」だ。しかしその裏には格差の拡大、深刻な環境破壊といった「影」もある。最近の例で言えば、中国製の粉ミルクからメラミンという有害物質が検出されて大きなニュースになったことは典型的な「影」の部分といえよう。

 報道によれば、当初メラミン混入は粉ミルクだけとのことだった。だが次第にほかの乳製品からも検出され、現在では5万人以上が治療を受けているというから事態は深刻である。しかも事は中国内だけではなく、我が国にも飛び火している。日本企業の製品も、多くのものが中国で生産されており、そのうちのいくつかが「自社製品からメラミン検出」と公表している。

 また香港市場では、メラミン問題とは関係のない食品関連企業の株価までが下落している。これもメラミン問題の余波といえる。メラミン問題が影響を与える範囲は極めて広い。中国の経済成長は著しいのだが、あまりにも発展を急ぎすぎた。そして利益を出したいという思いが強すぎた。ために、自由競争の悪い面に突っ走ってしまったのだ。

 これは米国発の金融商品と似ている。また日本でもかつて高度成長期には似たような問題が発生して世界から非難されていた。英国でも産業革命真っ盛りの炭坑や工場で悲惨な物語があふれていた。どこの国でも産業勃興期には経験する問題であるが、世界の工場として世界中に輸出しまくっている中国だけに与える影響は大きい。そこで今日はこの問題について考察してみよう。

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