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「産業突然死」の時代の人生論

緊急提言2
最初にやるべきことを最初に

この記事は、大前研一氏が『The Japan Times』に寄稿した緊急提言・第2弾『'Pumping station' or bust』のオリジナル原稿(英文)を日本語に訳したものです。

経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年10月7日

 先週わたしはこのコラム(※)で米国の金融危機について論じた。ポイントは二つ。第一に、不良資産の買い入れを眼目とするポールソン救済案は、この段階での優先事項ではない。まずやるべきは流動性を提供する仕掛け(ファシリティー)の導入である。第二に、流動性を補給する“ガソリンスタンド(給油所)”を用意しないと「オオカミの群」心理がまん延する。ガソリンスタンドがあれば、危機に瀕した金融機関が立ち寄り、資金流出の心配もなく傷んだバランスシートを回復することができる。ガソリンスタンドには、米国の金融機関のためだけでも5兆ドル程度を用意しなければならない。欧州をはじめ世界中の金融機関が利用するなら、10兆ドルが必要だ、とも書いた。

※ The Japan TimesのOpinion欄に掲載されたコラム、『What is needed to make the U.S. financial bailout plan a success』 のこと。SAFETY JAPAN では、同コラムのオリジナル原稿の日本語訳を こちらに掲載 した

 にもかかわらず米議会は10月4日に、たった7000億ドルの救済案、しかも流動性提供ではなく不良債権買い取り法案、を可決した。その結果はと言えば、市場から「これは今欲しいものとは違う」とばかりひじ鉄を食わされただけである。なお悪いことに、米国は不安心理を世界中に伝染させてしまった。今や欧州が「オオカミの群」症候群に陥っている。ただし欧州の場合には、発症したのは個々の金融機関ではなく国である。アイルランドが預金の全額保護を打ち出し、預金保護がそれほど手厚くない国に不安感が広がっている。

 1929年の大恐慌で起きたような取り付け騒ぎは、21世紀にはサイバースペースで発生する。2週間前にはワシントン・ミューチュアルの預金総額3000億ドルのほぼ10%(※)が、わずか1週間で流出した。エレクトロニック・バンキング・サービスを利用して預金者が引き出したのだ。もし同行がこのサービスを停止していたら、昔ながらの取り付け騒ぎが街頭で起きていただろう。だからワシントン・ミューチュアルはシステムを遮断するわけにはいかず、政府に助けを求めざるを得なかった――その甲斐はなかったが。先週のコラムで提案したようなガソリンスタンドがあったら、彼らは問題を処理し、恐らくは息を吹き返すことができただろう。

※ お詫びと訂正:当初、「預金総額3000億ドルのほぼ4分の1」としましたが、この数字は誤りでした。お詫びして訂正いたします

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