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「産業突然死」の時代の人生論

第13回
東証のシステムトラブルは起こるべくして起こった

経営コンサルタント 大前 研一氏
2006年1月25日

システムは「使う人が作る」のが一番効率的

 ビジネスブレークスルー大学院大学のeラーニングシステム『AirCampus』は、すべて自社開発をしている。

 開発の指揮を取っているのは私だ。もちろん私はプログラマーでもSEでもないので実際の構築作業をするわけではないが、技術的なことは分かるので全体の仕様や、操作性、改善要求、などをひんぱんに出す。「ここはこうしてくれ」「こういう機能を付加してくれ」「次のバージョンはこうしよう」などと。それを受けて社内のシステム部門が一気呵成に作業するというわけだ。もちろんそうした作業で手が足りないときには外部の援助も得る。かくしてAirCampusはたゆみなく進化を続けている。

 何といってもAirCampusの一番のヘビーユーザーは私だ。通常の講義をし、学生とディスカッションをし、そして教材作りといった作業をAirCampus上に積み重ねてきたことで、「何を」「どうしたら」学生がやる気になるか、教育効果が上がるかも知悉している。そういう人間がシステム開発に携わることこそ一番合理的であるはずだ。

 自社開発をしているからこそ作ることのできた機能は画面のあちこちに見られるが、みなが「これ何?」て必ず聞く機能が『目からウロコ捕集器』である。これは講義中、あるいはディスカッション中に誰かが「目からウロコ」と思ったら、それをまとめて収録しておくものだ。そして2ヶ月、3ヶ月後に改めてその「目からウロコ」をまとめて見直して見る。すると学生は「俺はつい最近までこの程度のことに感心していたのか」と驚く(つまり短期間でどれだけ自分が成長したかが分かる)というわけだ。

 成長の度合いが分かればそれだけモチベーションも向上するし、他の学生にとっても大きな励みになる。このような機能を外部のベンダーに丸投げして作らせていたらどうなっていたか。納期は守られず、コストは見積もりをオーバーし、それでいて機能的には満足できないものが上がってきたのではないか。もちろん、依頼者側がしっかりしていて外部ベンダーにはっきりとした仕様を書き出せる場合にはこの限りではない。しかし、その場合にはベンダーの常として開発費用の増額を要求してくる。大手ベンダーの管理職は開発費の大きさで業績評価されるので複雑な仕様や、追加仕様をすれば必ず見積もりを上げてくる。そういう仕組みになっているのだ。すべてのベンダーがそうだというつもりはないが、外部にシステムを発注することには常にこうしたリスクがつきまとう。

 自社開発の良さは、そうしたことに左右されないで自由に皆で仕様を打ち合わせして、しかも、だんだん開発部隊が「こういう機能も追加しましょうか?」とか、「これはまとめて一画面にしたほうが分かりやすい」「どうせなら後からこういう形で検索できるようにした方が便利だ」などと、使用者側の立場に立ってどんどん提案するようになる。また、そういうオーナーシップの強い人を担当にすることができる。

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