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「産業突然死」の時代の人生論

人件費アップでも中国に依存する理由

 もう一つは労働契約法だ。こちらも今年1月1日から変わった。労働者の待遇を改善するのが目的である。しかしこれによって中国の良さ(というと、失礼に当たるかもしれないが)が失われてしまうのも事実だ。この場合の中国の良さとは、人材の調達のしやすさである。特に広東省については労働力を斡旋する人がいて「1000人使いますから1000人連れてきてください」と言うと、本当に1000人用意するのだ。そして忙しいピークが過ぎたら「集めたうち300人はもう要りません」と言えば引き取ってもらえる。さすが世界の生産基地である。雇用する側から見れば非常に便利だった。

 ところが、そういうことは長くは続かないものだ。今度の新しい労働法では、勤続10年以上の労働者は終身雇用を提供しなくてはいけない。またある期間だけの契約を2回結んだら、3回目以降は事実上の終身雇用をしなくてはいけない。仮に企業が正しい雇用契約を望まないときは、しかるべきペナルティ、つまり退職金を払って解雇することになる。その目安は勤続年数と同じ月数の月給を払うことである(例えば5年勤続なら5カ月分がペナルティとなる)。内部規定を定める際には労働組合にも関与させる必要が出てきた。

中国の労働契約法のポイント

 これが突然決まったので、パニックを起こしている企業も少なくない。利にさとい韓国の企業は夜逃げ状態で撤退している。広東省の香港系企業なども急速にやる気を失っている。一気に変えるのではなく、中間的な段階を経て、徐々に変革させる手もあったのではなかろうか。

 この大きな変革により、人件費がアップするのは間違いない。それでもまだ中国の方が日本よりも人件費が安いことに違いはない。むしろ人件費が上がってもその分、生産性を高めてくれれば、利益は出るだろう。わたしも中国の企業の経営者であるが、政府の突然の施策変更〔おふれ〕に関してはもう諦めている。

 それは中国に変わる生産基地が世界広しといえどもないからだ。ベトナムへの移転を考える経営者もいるだろうが、同国の人口は6000万人強である。広東省の人口よりも少ないので、中国からベトナムへ一気に移ることはあり得ない。産業基盤(工業団地、道路、港湾、住宅、鉄道)や汚職のことを考えればベトナムで中国以上のことができる状態ではない。

 次回は、今回名前が出てきたNeusoftをはじめとする大連の企業を中心に解説する。

後編へ続く)

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