第146回
日本語に強いアウトソーシング拠点、大連の研究(前編)
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年9月17日
BPO(Business Process Outsourcing)が注目されて久しい。BPOとは、要するにホワイトカラーがやっていた業務の一部を外部業者に委託することだ。1990年ごろからは国境を越えたよその国に間接業務を委託することが増えてきている。請負先として特に有名なのはアイルランドやインドだ。またEUの東方拡大とともにハンガリーやチェコなども活発にBPOを取り込んでいるし、コールセンターに関してはフィリピンもインドに負けないくらい活発にやっている。変わったところではインド洋のアフリカ側にあるモーリシャスが英語とフランス語で業務系の仕事を取るようになってきた。今回はそのBPOの可能性について見ていこう。
日本にとって最大のBPOの受注国になっているのは中国だ。中国にはアウトソーシングを請け負う地域が11カ所もある。その中でわたしが10年くらい前からアドバイザーとして積極的に支援しているのが大連だ。ここは昔から日本企業の進出が活発なところだが、製造に関しては広東省や上海周辺にお株を奪われてきたので、日本語や朝鮮語の能力を生かした間接業務のアウトソーシングの基地にすればどうか、ということで当時の市長をしていた薄煕来さん(現四川省書記)にアドバイスしたのが事の始まりだ。
まずは大連の位置から確認しておこう。
大連は遼東半島にある。東北三省のうち、最も海に出たところだ。地図で見れば分かるように、大連は中国のなかでも特に日本に近い。さらに、日本の各地の空港からも直行便が出ている。直行便なら東京から2時間半、福岡から1時間半くらいで着く。首都北京にも近い。
大連のある遼寧省の省都は瀋陽である。大連、瀋陽を含めて100万都市が六つもある。大連の先には旅順という軍港があるが、大連もまた昔から有名な港町である。緯度的には、日本の仙台とほぼ同じで北緯38度だ。といっても冬は平気でマイナス10度、15度に下がる寒い地域である。
大連の人口は600万人と、シンガポールと比較すると倍近い。デンマークが人口600万人だから、それとほぼ同じだ。言ってみれば大連は、行政区分では「市」ではあるものの、規模は「国」なのである。面積は1万2000km2と、新潟県程度だ。
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