第140回
領有権を巡る21世紀の解決スタイル
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年8月6日
日本と韓国の間にある小さな島・竹島を巡って、両国が領有権を主張して熱くなっている。しかし竹島は1950年代から既に半世紀ものあいだ韓国が実効支配している状態だ。日本はそのさらに半世紀前から島根県に編入しており、領有権を主張してはいる。主張はしているのだが、竹島を取り戻すための行動を起こしているわけではない。まして実効支配もしていない。
わたしは、この「実効支配」が領土問題では極めて重要になると考えている。もし日本が竹島を取り戻そうというのであれば、武力でもって、つまり戦争をも辞さないつもりで働きかけるしかない。日本政府はそういう行動を起こしていない。
今の日本政府の態度を一言で言えば「泣き寝入り」である。国際的に機会あるごとに訴えているというのは、こと領土に関しては「犬の遠吠え」である。なぜマスコミはそうした実態を冷静に報じないのだろうか。歴史上、領土問題が戦争によらずに解決したことは数えるほどしかない。国連で決議してもイスラエルによるパレスチナの占拠、入植、実効支配は、まったく犬の遠吠えであった。日本も竹島の領有を主張するなら態度で示さなくてはいけない。そのために高い税金を払って自衛隊(そう、自国領が攻撃されたときに守るためにあるということで自衛隊と名付けられている日本の軍隊)が出動しなくてはいけない。
だが竹島のような小さな島に、戦争を起こしてまで取り返すほどの価値はあるのかという問題も、頭を冷やして考えてみるべきだ。おそらく多くの国民は韓国の過剰ともいえる実効支配と対日“口撃”に辟易(へきえき)としながらも、「勝手にやらせておけ」くらいに思っているのではないか。自衛隊が出動してまで取り返してこい!と思っている人はむしろごく少数なのではないか、というのがわたしの判断である。
この手の領土問題、領土に起因する紛争は、竹島に限らず全世界で起こっている。今回は、各地の紛争解決について考えてみたい。
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