米国住宅公社が破綻すれば全世界にパニックが
なぜ米国政府は、この2社を破綻から守ろうとしているのか。破綻すると、いったいどのような影響があるのか。まずはファニーメイとフレディマックの株価の推移を見ていこう。
2007年の8月にサブプライムローン問題が大きく取り上げられ、2社の株価も一時的に落ちた。そこからしばらくは小康状態を保っていたものの、年末になると株価は急激に下落を始めている。その後、一度回復はしたものの、下落はとどまることがなく、最近になると1年前の10分の1に下落して株価はゼロにタッチしそうなくらい低迷している。このまま行けば、破綻は免れないであろうと思うのも当然である。
何しろこの2社が破綻したら、世界中への影響がすさまじい。両社で発行した債券の額は日本のGDPに匹敵する500兆円にものぼる。海外の機関投資家に売りさばいた額は150兆円。そのうち、例えば日本の農林中央金庫は、この2社が発行する債券を5兆円分も持っているのだ。農林中央金庫だけではない。三菱UFJ、日本生命、みずほFG、第一生命など、日本の多くの金融機関が持っている債権を合わせると実に50兆円にも達するといわれている。サブプライムでは英国やドイツ、スイスの被害が大きかったが、住宅抵当公社債では日本が総発行額の10%で世界で一番抱え込んでいるのだ。
上記はいずれも金融機関である。それがどうして総額50兆円にも及ぶ債券を買っているのか。わたしが想像するに、「米国債は破綻することはないだろうから大量に買っておこう」「しかしそれだけでは芸がない」「ファニーメイとフレディマックの債券くらいは買っておこう」という程度の軽い気持ちで大量購入していたのだろう。もしかしたら政府保証のついているジニーメイと混同して買ってしまったのかもしれない。いずれにしても、仮に2社が破綻したら、債券の大幅な下落は避けられず、被害額も大きなモノになるだろう。
今、米国では住宅抵当公社の救済を議論しているわけだが、共和党の議員のなかには「日本などの金融機関が買っている。外国のために米国の納税者の金を使うとは何事か!」という議論が飛び出している。日本は、日本発の金融危機を出さないようにと納税者と預金者にすべてしわ寄せして90年代の金融危機を乗り越えたが、その「配慮」がばかばかしいくらいに自己中心的な議論が横行している。それくらい、今の米国には余裕がなくなっているのだ。
そうは言っても米国政府としては2社を守ろうとしている。そして「株価は落ちてはいるものの、債券そのものがデフォルト(債務不履行)しているわけではない」という態度を通している。もしこの債券がデフォルトということを米国政府が認めたらどうなるか。米国発の金融危機が即座に全世界に飛び火する。だからこそ、この2社を米国は死力を尽くして守ろうとしているのだ。資本注入することで、世界中にパニックが伝播するのを米国は防いだのである。
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