第139回
米国はバブル崩壊後の日本をなぞるのか
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年7月30日
以前からわたしは、サブプライムローン問題がプライム層に飛び火する可能性を指摘してきた。住宅価格の下落が続けば優良と見られてきた貸し出しも抵当割れするし、住宅をATM代わりに資金引き出しの道具として使ってきた人々が追いつめられるからだ。今、それがいよいよ現実味を帯びてきたように思われる。
今月(2008年7月)米国政府は住宅公社の支援に乗り出すと発表した。支援の対象となるのは連邦住宅抵当公社ファニーメイと連邦住宅貸付抵当公社フレディマックだ。この2社は、日本でいえば住宅金融支援機構(昔の住宅金融公庫)のようなものだ。
米国財務省とFRBは、「両社の経営が悪化している」として、救済のための緊急声明を発表したのである。約1兆円もの増資やFRBによる全面支援などが検討されているとのことだ。両社ともこれまで米国内では優良企業とされていただけに、衝撃は小さくない。先週には上院で「住宅公社支援法」が緊急可決されている。FRBと財務省は今までになかった緊密な連携を取っているし、FRB傘下のニューヨーク連銀もベアー・スターンズ救済などでは俊敏な行動を見せている。米国経済の屋台骨ともいうべき住宅産業の守護神のような住宅公社の経営悪化は、今回が初めてのことではない。
なぜ両者の経営が悪化してしまったのか。この2社は、「運の悪いことに」というべきか、住宅ローンだけではなく貸したローンを小口債券化して世界中に売りさばいていたからである。
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