第136回
変節する米大統領と韓国大統領
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年7月9日
政治家の変節は何も珍しいことではない。かつてはタカ派で知られたニクソンの中国への接近(ニクソンショック)がある。最近の代表例はブッシュ米国大統領と李明博 韓国大統領であろう。
ブッシュ大統領は就任後、有名な「悪の枢軸」演説を行っている。外交に疎かったブッシュが本当に理解していたのかどうか危ぶまれたが、イラク、イラン、北朝鮮を名指しで悪の枢軸と呼び、米国外交は彼らを標的としていくと宣言した。しかし、今になってどうやら彼はやはり国を間違えていたのではないかという説がまことしやかに語られている。
9.11のあと、彼が宣戦布告もなく攻撃したのはアフガニスタンであった。ここでは電光石火のごとくタリバンを駆除して、どこからか英語のうまい親米的なカルザイ氏を見つけてきて「民主的に選ばれた」大統領として一件落着‥‥と思いきや、米国はイラクの攻撃を始めた。
「テロとの戦い」が大義名分ではあったが、イラクには「悪の枢軸」の定義に沿った「大量破壊兵器(WMD)」は見つからなかったし、核の開発に関してはその片鱗さえも見いだすことができなかった。そういう国を嫌疑だけで攻撃し、政府転覆までしておきながら、謝罪の一言もなく「少なくとも以前よりは安全になった」と駐留を長期化している。皮肉なことに原油の高騰は、イラクの石油施設の破壊と中東の不安定化と無縁ではない。いずれも米ブッシュ政権の一人芝居の“たまもの”である。
一方、欧米やIAEAの執ような要求にもかかわらず核開発を平然と公言し継続するイランに関しては、ブッシュ政権が残り半年となった今日までおとがめなし、である。やはり国を間違えたのではないか、と言われるゆえんである。
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