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「産業突然死」の時代の人生論

国家を二分して議論するようなことか?

 いずれにせよ、サマータイムや時差のようなものは、国を二分して議論するようなことではない。日本は現在、東経135度にある明石の時間を日本標準時と定めているが、そのこと自体、わたしに言わせれば奇妙なことなのだ。海外の事情を知れば、それがいかに奇妙なことか、理解できるだろう。

 現在、サマータイムに賛成しているのは、外国で生活して実際にサマータイムを経験したことのある人が中心だろう。そういう人にとっては「サマータイム? あれっていいものだよね」と好印象を持っているはずだ。そのような外国でのよい思い出を持っている人たちを中心に、前向きな人々が一丸になって推し進めることができたら、サマータイム導入も実現したかもしれない。先の森永氏は「サマータイム議論は息を吹き返す」という見解だったが、わたしは「谷垣氏が担当になってしまった以上、それはない」という立場を採る。

 サマータイムのメリットとして省エネを挙げる人がいるが、今ではその効果はあまりないかもしれない。要するに夜間も冷房をつけている場合にはあまりメリットがない可能性があるからだ。今の日本はむしろ夏の甲子園の最終戦あたり、午後3時ごろに電力需要のピークを迎える。柏崎・刈羽の原子炉が落ちている今年などはこの時にいかにブラックアウトを起こさないかが大きな課題だ。この場合には、ピークが4時くらいにずれるので少し楽になる。しかしそれだけが目的であれば、高校野球を別なシーズンにするとか、ナイターでやるなどの方法がよりメリットが大きい。このようにメリット・デメリットの議論を始めれば甲論乙駁、際限なく続くことになる。

 わたしにとって一番説得力があるのは、「夏になると4時から太陽が昇っているのにあなたは6時に起きていますね。陽が昇ってから2時間も寝ているのはもったいない。むしろ陽が昇ってから1時間で起きるというのはどうですか?」という理屈だ。夜は7時に暗くなるのが、サマータイムでは8時ということになる。

 この議論をしていて、ある人が、冬の暗いうちから会社に出勤するのはイヤだと言った。つまり、彼は(そして多くの人は)サマータイムが夏の間だけの事なのだということさえ理解していないのだ。秋から翌春にかけては今までと同じに時計を戻すのですよとわたしが説明したら、バツの悪そうな顔をしていた。つまり、サマータイムの議論が紛糾する原因のなかには、今とは事情が全く異なった戦後の苦い経験を聞きかじりで言うことや、サマータイムとは具体的にどのような仕掛けでいつからいつまで時計をずらすのかということを理解していないこともあるのだ。

 無論、サマータイム導入によってサービス残業が増えるという可能性は真剣に対処を考えなくてはならない。しかし、そうなるかも「しれない」というだけで、その中身やメリットを精査せずむやみに反対するのは、立派な思考停止であることを最後に強調しておきたいと思う。

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